あやしき恋と陰陽師!

「ただの紙切れじゃないよ。これはいわば、対妖魔用カイロ――熱護符(ねつごふ)なんだから!」
「ハァ? 何やそれ」

 緋暮の顔には「あほらし」と書いてあった。

 彼が知らないのも当然だ。
 だってこれは、私のオリジナル護符なんだから。

「ふふん、見てなって」
 
 熱護符を自分の制服に貼り付けると、じんわり熱が伝わって、身体の震えが止まった。

 頭に積もりかけていた雪も、身体から三センチくらいの熱気バリアによって弾かれる。
 見たか、熱護符の力!
 
「あったか〜い!」

 満面の笑みを浮かべながら、これ見よがしに言ってやる。
 今まで散々失礼な態度を取られた仕返しだ。

「そんなん持っとるならはよ言えや!」
 
 キレ気味の声を無視して、もう一枚を取り出す。
 
「あれっ、もう一枚あった!」

 チラチラと熱護符を見せつける。
 
「どうしよっかな〜? 『今までの無礼をお許しください椿さま!』って謝るなら、あげなくもないけどな〜?」
「このアマ、ええ性格しとる……!」

 緋暮のこめかみには青筋がピクピクと浮かんでいる。
 京都仕込みの嫌味は、珍しく直接的な言葉になっていた。