あやしき恋と陰陽師!

 やがて連れて来られたのは、犬飼さん専用の寮長室。
 床も机も、本やら巻物やらでグッシャグシャだ。

「華やかでええ部屋ですねぇ(えらい散らかしてはりますね)」
「おいおい、京言葉は勘弁してくれ。にしても二人、もう仲良くなったのか?」
「なわけないっ!」

 私は全身全霊で否定した。

「犬飼さんも犬飼さんだよ! コイツとバディがどうのって、何で説明してくれなかったの?!」
「だって椿、昨日は妖魔ブン獲られた〜って、めちゃくちゃ怒ってたんだもん」
「『だもん』とか言わないで!」

 しょぼくれた成人男性をひと睨みする。

「考え直してよ、私ならソロでも戦える!」
「椿」

 だけど犬飼さんは首を振った。

「陰陽道において女は陰、男は陽。妖力を安定させるため、男女バディを組ませるっつーのは、よくある話だろ?」

 壁にデカデカと描かれている”太極図”――黒と白の勾玉がぴったりハマった丸いマークに目をやる。
 黒は陰、白は陽。
 陰と陽に優劣はなく、互いにバランスを取り合うことが重要らしい。

 ……けど!
 
「コイツだけはイヤ! チェンジ!」
「つれへんなぁ(ガタガタ喚くなや、僕やって願い下げやわ)」

 緋暮の顔には、心の声が思いっきり書かれていた。
 そんな私たちの心境なんて気にも留めない犬飼さんは、豪快に笑う。

「とにかく、これは決定事項だ。よろしく頼むぜ、若人ども!」

 も〜〜っ、何でこんなことに……!