思い切って、彼の部屋まで行ったけど、鍵はかかってないし、誰も居なかった。

小さなテーブルの上には、彼女宛の置き手紙があったの。

彼は誠実だけれど、筆不精だったそうで、そんな頻繁に恋文を書く人ではないのに。

「僕の愛は永遠に変わらない。君は必ず幸せになるんだよ」

それだけしか書いてなくて、彼女は何となく胸騒ぎがしたそうよ。

警察に、彼が行方不明だということも告げて、捜索も始まって。

彼女は、毎日、警察に出向いていたの。

どれぐらい経った頃か、彼女がいつものように警察に出向いた時、警官はとても言いづらそうに⋯⋯彼は、釣り人によって海で見つけられたということを⋯⋯。


筆不精だった彼からの最後の恋文が、遺書だったなんて⋯⋯あまりにも皮肉よね。

絶望のあまり、彼女は、約束していた北海道に、彼女は彼の写真と手紙だけ持って、旅立ったそうよ。

彼女が北海道に着いたその日は、5月なのに本州の真冬ほどの寒さでね。

疲れ果てた彼女は、彼の写真と手紙を抱きしめたまま、道に倒れていたの。

すると、普段は外に出ることのない、修道院のシスターが、たまたま通院で外に出ていた時、倒れていた彼女を見つけて、保護したんですって。

もともと敬虔なクリスチャンだった彼女は、助けられた命は、修道女として全うすることにして、胸の奥底では、密かにずっと彼だけを想い続けたの⋯⋯。