ん⋯⋯?

あぁ、もう恋路海岸に着いたの?

爆睡しちゃってたかな⋯⋯ごめん。

えっ、イビキ!?

嘘!そんなはずない!

と、とにかく、駐車場に居たって仕方ないでしょう?降りようよ。


ちょっと⋯⋯その手、馴れ馴れしいって。

いや、手を回すことがダメなんじゃなくて、手の位置のこと言ってるの!

全く⋯⋯初デートなんだから、手を繋ぐぐらいにしてよね。

純情ぶってるですって!?

そうだ。

さっきアンタ、何か話を聞きたいって言ってたし、元彼の話でもしようか?

いくらでも語ってあげるわ。

あの人とのエピソードならどれだけでも⋯⋯え、聞きたくない?

全く⋯⋯どっちなのよ。



ひゃっ⋯⋯!

あ⋯⋯アリガト⋯⋯転ぶかと思った。

私は私で、これでも一応、頑張って綺麗にしてきたのよ?

でも、こうやって海辺を歩くなら、フラットシューズにしたらよかった。



あ、そうだ。

ふと思い出したわよ、アンタの望むような面白い話。

厳密に言えば、決して面白くはないんだけどね。

面白いなんて言ったら不謹慎だわ。

いや⋯⋯私と元彼のことじゃないってば。

もっと、ずーっと昔の話。

え?詳しい年までは知らないけど、私たちが生まれる、ずっと前。

⋯⋯とはいっても、そう大昔のことではないかもね。

少なくとも、戦後だし。