【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

 ガーデニングパーティの翌日、早速医師を訪ねることにした。
 朝食を食べ終えると身支度を整える。家から一時間ほど歩いた場所から乗り合い馬車が出ているので、そこを目指した。

 そしてカハルの街に下り立つ。

 約半年ぶりに訪れた街は、あの時と変わらず栄えていた。
 買い物する人々の間をすり抜け、街の北通りに向かう。

 万が一知り合いにでも会ったら面倒だと思い、ローブを深く被ってきた。
 街の一角に構えている診療所の扉の前でローブを脱ぐ。

 久々の診察、なにを言われるのだろう。想像するだけで怖くなる。
 こんな時、誰か心を許せる人物がいてくれるだけで、違うのだろうか。

 ふと脳裏にアレクの姿が浮かぶ。

 そうね、彼ならずっと私の側に寄り添ってくれそう。しかも手を握って励ましてくれそうだわ!
 だが、すぐに我に返る。

 私ってば、なにを勝手に想像しているのかしら。それにどうしてアレクが浮かぶの。

 顔をブンブンと横にふり、余計なことを考えないようにした。

「よし、いきますか!」

 ピシャリと両頬を叩き、気合を入れる。

 しっかりするのよ、リディア。

 余命が半年と言われたとしても覚悟していたことじゃない。だからこそ、今があるんだから。

 幸せをつかんでしまったからこの生活を手放すのが怖くなった、なんて皮肉な話よね。

 自嘲気味に笑い、診療所の扉を開いた。

 立て付けの悪い扉がギギギと音を出して開く。
 中に入った瞬間、消毒と薬草の匂いが鼻につく。

 扉を開けてすぐ目の前に古ぼけたソファが置かれてあり、ここが待合室となっている。待合室の先にはもう一つ部屋があり、そこで診察を行っている。

 先に誰かを診察しているらしく、隣の部屋からはボソボソと声がする。
 私はソファに腰かけ、ぼんやりと自分の番を待った。

 やがて隣の部屋から人の動く気配を感じた。

 診察が終わったのかしら?

 この診療所の良いところは、診察が終わったあとは裏口から出られることだ。待合室ですれ違うことがないように配慮されていた。

 いよいよ、私の番なのだわ……!

 緊張していると静かに扉が開いた。初老の医師が姿を表し、診察室に入るように言った。

「先生、お久しぶりです」

 診察室の椅子に腰かけ、ぺこりと頭を下げた。

「君は……クラッド病の」
「ええ、そうです」

 先生は覚えていてくれたのだと少し驚いたが、無理もない。珍しい病だからだろう。

「今日は再度診察をしていただきたいのです。残りの人生、どのぐらい生きれるのかはっきりさせたくて」

 私はきっぱりと告げた。

 医師は眼鏡の中央を指でクイッと押し上げ、深刻な面持ちを見せた。そのまま無言で診察室の奥に引っ込んだ。
 やがてカルテを手にして戻ってきた。カルテを机の上に置くと、私と向き合う。