【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

 首を傾げるが、レオナはとっさには出てこないみたいだ。

「じゃあ、私がいくわよ」

 スッと息を吸い込んだ。

「魔力があればすべて許されると思っているけど、その高慢さに、いつかあなたは足元すくわれるわ。今は周囲にちやほやされているけれど仮にもし、あなたに魔力がなくなったら? その時、側に残る人はいると思うの?」
「まあああ!!」

 レオナはよほど悔しかったのだろう、頭をかきむしった。
 冷静にジッと見つめていると、陰からスッと現れた人物。口に手をあてて笑いをかみ殺しているように見えるのは気のせいだろうか。

 突然姿を表したアレクにレオナは表情を変え、駆け寄った。

「アレク様、私はレオナ・ノクティスです。そこにいるリディアは私の姉でして……」

 挨拶もそこそこにレオナはさめざめと泣きだした。

 アレクはあきれたように空を一度仰いだが、ゆっくりと声をかけた。

「――どうした」

 それまでうつむいていたレオナは、アレクの一声で待ってましたと言わんばかりにパッと顔を上げた。

「久々に会った姉妹ですのに、姉はひどい態度で……。せっかく家族との仲を取り持とうとしている私に、姉は暴言を投げつけました」

 アレクは首の後ろに手を当て、戸惑っているようだ。

 だが無理もない。会うのは二度目、初対面にも等しいのに、いきなり泣きつかれては、アレクじゃなくとも困惑する。

 だからレオナ、そういうとこなのよね。

 一応姉として、レオナの世間知らずな態度に恥ずかしくなってくる。
 その後も私の不満を訴え続けるレオナを、アレクは腕を組んで聞いている。

「本当にわがままな姉で家族は皆、困っていますの」

 ひとしきり訴えたら満足したレオナは、勢いよく顔を上げた。

「――俺が知りたいのは、どうして君がここにいるのかだけだ」
「えっ……」

 その時、初めてアレクの冷ややかな視線に気づいたレオナはたじろいだ。

「教えてくれ。どうしてこの場にいる?」
「それは招待状を――」

 レオナはしどろもどろになりながらも、嘘をつき通そうとする。

「招待状?」

 アレクの眉がピクリと動いた。

「いくらリディアの妹といえ、ノクティス家に出した覚えはない」

 アレクの淡々とした声にレオナの頬が引きつる。
 緊迫した空気が流れ始めた。

「あら、どうしたの?」

 その時、生垣の裏から登場したのはベアトリーチェ様だった。