【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

 私のために時間を割いて、一緒に選んでくださったのだ。

「それにその髪型も。いつもはボサボサだったのに、やけに張り切っているのね。そばかすを隠しているみたいだけど、それだけ化粧が濃いってことよね」

 レオナは悔しそうに親指を噛みしめた。

「あの日、ギルバートが言っていたけど、まさか本当に第一王子だったとはね……」

 レオナは顔をゆがめた。

「ねえ、恋人だとか言ったけど、本当は違うんでしょう? 第一王子ともあろうお方が、お姉さまと付き合うメリットなんてあるわけないわ」

 グッと一歩前に出たレオナは私の目を見つめた。

「――なにか隠しているの?」

 時折、変なところで勘が鋭くなる。
 レオナが私を探るような眼差しをジッと向けてくる。

 私も魔力が使えるようになったことは、レオナにだけは知られるわけにはいかない。

「なにも隠してなんていないわ」
「ふうん」

 レオナは納得いっていないような態度を見せる。

「早く戻ってきなさいってば。王太子と縁が出来たのなら、両親も悪いようにはしないって言ってたわ」

 レオナは私の意志などお構いなしなのだろう。

「でも正直、面白くないのよね」

 レオナは肩をすくめた。

「ねえ、私を見て」

 レオナは胸を張る。

「誰もが振り返る美貌に魔力を持つ、ノクティス家の秘宝と噂される私よ。どう考えても私の方が相応しいわよね」

 やけに自信たっぷりで、聞いている方が恥ずかしくなる。
 深く息を吐き出し、顔の半分を片手で覆う。
 話が通じなすぎて、頭が痛くなってきた。

 この自己肯定感の高さは、ある意味見習いたい。
 妹は幼い頃から愛情たっぷりで育ってきたのだ。昔は自分と比較して卑屈になった時もあった。

 でも今は――。

「あなたは、相手の気持ちを考えることができないのね」
「はっ?」

 思わず口から出てしまうとレオナがすぐさま反応した。
 でも、止めよう。せっかくのテオドールのお祝いの場なのに、言い争いはしたくない。

「それで話は終わったのかしら? 終わったら帰ってくれる? 出口はあちらよ」

 私は馬車の停留所に続く扉を指さした。

「そもそも招待状がないのだから、見つかったらつまみ出されるのも覚悟するといいわ」
「なによ、話はまだ終わっていないわ!!」

 レオナは必死に私の腕をつかむ。

「王太子に私を紹介して!!」
「えっ……」

 レオナの申し出に口をポカンと開けた。