「皆さん、今日は楽しい一日になることを祈っていますわ」
ベアトリーチェ様の声と共に会場がわいた。楽師たちは音楽を奏で始める。
テオドールもとても嬉しそうに笑っている。あの笑顔が見れただけでも、私はノクティス家を飛び出してきたかいがあった。
アレクとテオドールの側には祝いの言葉をかけようと、人が集まっている。
少し離れた場所で感慨深く思っていると背後に人の気配を感じた。
「――お姉さま」
えっ、この声は!?
驚きのあまり勢いよく振り返ると、そこに立っていたのはレオナだった。
「どうして……」
ベアトリーチェ様は私の意をくんで招待しないと言ってくれたけど、なにかの手違い?
「噂で聞いたのよ。当然、私にも招待状がくると思っていたのだけど、待っても来ないなんて、ひどいじゃない!」
「あなた……もしかして勝手に来たの?」
まさかと思う非難の眼差しを送ると、レオナは目をつり上げた。
「お姉さまが私をのけ者にするから悪いんじゃない! 薄情者! 少人数のパーティと聞いてたから、入るのは簡単だったわ。招待状は忘れたふりしてノクティス家だと告げれば、難なく入れたし」
まさかレオナがここまでするとは思わなかった。その非常識さに言葉を無くす。
「ちょっと、こっちに来て」
私はレオナの手首をパッとつかむと、足を進める。
「なにするの、痛いじゃない!」
レオナの非難する声を無視し、人目につかない生垣のあたりまで連れてきた。
「招待状もないのに嘘までついて侵入するなんて、どういうつもり!?」
わがままで無知だが、この件が知られたらノクティス家にも泥をぬることになると、レオナは理解しているのだろうか。
誰よりも体面を気にするあの両親のことだから、いくら溺愛するレオナだといっても叱責されるだろう。
「あら、お父さまとお母さまも知っているわ」
「――え?」
レオナは勝ち誇るように、ふふんと肩をあげた。
「だからこそ、お姉さまを説得してくるように言われたの」
レオナは深いため息と共に肩をすくめた。
「いつまでも意地を張ってつもり? そこまでして家族の気を引きたいの?」
棘のある言葉に唇をギュッと噛みしめた。
両親もどこからか、このパーティを聞きつけたのだろうが、自分たちが顔を出すのはさすがに非常識だとわかっているのだろう。だからこそ、レオナをけしかけた。レオナなら仲良しの妹だと訴えれば、どうにかすり抜けられるとでも思ったか。
仮に抗議されても、まだ成人していない娘だからと、謝罪すれば済む話とでも思っているのか。
私が大事にしている場に土足で入り込まれる感覚、到底許せるものではない。
「どうして私のことを招待しないの? たった一人の妹なのに」
あなたがそれを言うの?
レオナは急に目を見開くと、その表情はすぐに怒りへと変わる。
「そのドレス、マダム・カミラじゃない? なぜ、お姉さまが着ているの!!」
レオナは全身をジロジロと見つめた。
「なんだかお姉さま、変わったわね。化粧なんてして、全然似合わない!」
つまり、その逆で似合っているということだ。
レオナは私が自分より下じゃないと癇癪を起すのだ、昔から。
「やめて」
私をここまで磨き上げてくれたベアトリーチェ様にケチをつけられた気持ちになる。
ベアトリーチェ様の声と共に会場がわいた。楽師たちは音楽を奏で始める。
テオドールもとても嬉しそうに笑っている。あの笑顔が見れただけでも、私はノクティス家を飛び出してきたかいがあった。
アレクとテオドールの側には祝いの言葉をかけようと、人が集まっている。
少し離れた場所で感慨深く思っていると背後に人の気配を感じた。
「――お姉さま」
えっ、この声は!?
驚きのあまり勢いよく振り返ると、そこに立っていたのはレオナだった。
「どうして……」
ベアトリーチェ様は私の意をくんで招待しないと言ってくれたけど、なにかの手違い?
「噂で聞いたのよ。当然、私にも招待状がくると思っていたのだけど、待っても来ないなんて、ひどいじゃない!」
「あなた……もしかして勝手に来たの?」
まさかと思う非難の眼差しを送ると、レオナは目をつり上げた。
「お姉さまが私をのけ者にするから悪いんじゃない! 薄情者! 少人数のパーティと聞いてたから、入るのは簡単だったわ。招待状は忘れたふりしてノクティス家だと告げれば、難なく入れたし」
まさかレオナがここまでするとは思わなかった。その非常識さに言葉を無くす。
「ちょっと、こっちに来て」
私はレオナの手首をパッとつかむと、足を進める。
「なにするの、痛いじゃない!」
レオナの非難する声を無視し、人目につかない生垣のあたりまで連れてきた。
「招待状もないのに嘘までついて侵入するなんて、どういうつもり!?」
わがままで無知だが、この件が知られたらノクティス家にも泥をぬることになると、レオナは理解しているのだろうか。
誰よりも体面を気にするあの両親のことだから、いくら溺愛するレオナだといっても叱責されるだろう。
「あら、お父さまとお母さまも知っているわ」
「――え?」
レオナは勝ち誇るように、ふふんと肩をあげた。
「だからこそ、お姉さまを説得してくるように言われたの」
レオナは深いため息と共に肩をすくめた。
「いつまでも意地を張ってつもり? そこまでして家族の気を引きたいの?」
棘のある言葉に唇をギュッと噛みしめた。
両親もどこからか、このパーティを聞きつけたのだろうが、自分たちが顔を出すのはさすがに非常識だとわかっているのだろう。だからこそ、レオナをけしかけた。レオナなら仲良しの妹だと訴えれば、どうにかすり抜けられるとでも思ったか。
仮に抗議されても、まだ成人していない娘だからと、謝罪すれば済む話とでも思っているのか。
私が大事にしている場に土足で入り込まれる感覚、到底許せるものではない。
「どうして私のことを招待しないの? たった一人の妹なのに」
あなたがそれを言うの?
レオナは急に目を見開くと、その表情はすぐに怒りへと変わる。
「そのドレス、マダム・カミラじゃない? なぜ、お姉さまが着ているの!!」
レオナは全身をジロジロと見つめた。
「なんだかお姉さま、変わったわね。化粧なんてして、全然似合わない!」
つまり、その逆で似合っているということだ。
レオナは私が自分より下じゃないと癇癪を起すのだ、昔から。
「やめて」
私をここまで磨き上げてくれたベアトリーチェ様にケチをつけられた気持ちになる。
