【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「ご苦労様」
「つ、疲れました」

 体のサイズを測定するところから始まり、生地の色を肌に合わせたり、みっちり三時間対応した。

「素晴らしいインスピレーションがわきましたわ! 楽しみにしていてくださいね」

 マダム・カミラは上機嫌に帰っていった。
 残された私はぐったりとソファに深くもたれかかった。

「最短で仕上げてくれるらしいから楽しみね」

 隣に座るベアトリーチェ様は微笑んだ。

「それで招待客なのだけど、誰か招待したい人はいるかしら?」

 ベアトリーチェ様からの質問に少し間があってから、返答する。

「いえ、いません」
「家族や友人を招待もできるわよ」

 ベアトリーチェ様は良かれと思って声をかけてくれたのだろう。
 静かに首を横にふった私に、ベアトリーチェ様は察してくださったのか、それ以上なにも言わなかった。
 家族もそうだが、私には友人もいなかったのだと、今さらながら苦笑してしまう。
 ベアトリーチェ様はそっと私の肩を抱くと、引き寄せた。

「――当日は楽しみましょうね」

 優しい言葉が身に染みる。ベアトリーチェ様の温かな体温と、深くは聞いてこない気遣いに優しさを感じた。

「はい、当日を楽しみにしています」

 テオドールの全快のお祝いだもの。良い一日になりますように。

「――じゃあ、明日は装飾品を選ぶわよ」
「へ?」

 ベアトリーチェ様の言葉に反射的に身を離した。

「えっ、これで終わりじゃないんですか?」
「なに言っているのよ。さっき選んだのはドレスでしょう? 装飾品などはどうするつもりだったの」

 ベアトリーチェ様はバカおっしゃいと言いながら、コロコロと笑う。

「あとはネックレスにイヤリング……。あっ、靴もね」

 指折り数えるベアトリーチェ様に気が遠くなった。

「リディアさっき言ったわよね? 楽しみにしているって」

 言いました、言いましたけども!!

「最高に綺麗に着飾って、愚弟たちを驚かせてあげましょう!!」

 張り切るベアトリーチェ様は高らかに笑った。