【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「弟の静養先で出会った二人……。手を取り合って治療に励むうちに、二人に芽生えたのは愛だった、なんて最高にロマンティックじゃない!!」

 ベアトリーチェ様は両手を組んで空を見上げた。

「あ、あの……」

 どうしよう、ベアトリーチェ様には仮初の恋人だって、伝えておいた方がいいような気がしてきた!

 過度な期待させてしまう前に、はっきりと伝えておかなければ大変なことが起きると、私の第六感が告げている。

「大丈夫よ、リディア!!」

 ベアトリーチェ様は私の両肩をガシッとつかんだ。

「神託がなによ。そもそも神託の「魔力の強い女性」を待っていたら、アレクは一生一人で終わるに決まっている。神託なんて関係ない! あなたたちの愛で蹴散らすのよ!!」

 力説されて肩をガクガクとつかまれ、口を挟む隙がない。
 その時、静かに扉が開いた。
 開いた扉の隙間から、そっと顔を出したのはテオドールだった。

「あ、リディアお姉さま、帰ったと思ったら、ここにいたんだね!!」

 テオドールはズカズカと部屋に入ってくると、ソファの隣に腰かけた。

「ベアトリーチェ姉さまはずるい! リディアお姉さまをひとり占めしていたんでしょ!?」

 テオドールが私の腕をつかみ、グイッと引き寄せた。

「オホホ、そうよ。私とリディアは仲良くお茶会を開催していたのよ」

 ベアトリーチェ様も私の反対側の腕をグッとつかむと、引き寄せた。

「ずるい、ベアトリーチェ姉さま! リディアお姉さまは僕に会いにきたのに!!」
「あら。女性同士、会話も弾むのだから、仕方ないじゃない」

 私を挟んでケンカをするの、止めてもらっていいかしら。身の置き場に困る。

「とにかく、リディアお姉さまは僕の姉さまだから」
「あら、私もあなたのベアトリーチェ姉さまでしょ!」

 二人とも、低次元の争いをしている。
 それを無言で扉の隙間からジッと見ているのはアレクだった。

「なんだ、集まっていたのか」

 助かった、早くこの場をいさめて欲しい。

「廊下まで声が筒抜けだぞ」

 アレクはクッと笑う。

「だって、リディアお姉さまは僕に会いに来たのに、ベアトリーチェ姉さまが部屋に連れ込むから……!」

 アレクはテオドールの頭を優しくなでる。

「それだけ怒れるのなら、もう元気そうだな」

 少し前まで青白い顔をしていたテオドール。喜怒哀楽が素直に出せるほど、回復したということだろう。