ベアトリーチェ様の発言に紅茶を噴きだしそうになった。
「そ、そうなのですね」
ふ、深い意味はないはずだ、多分。
目を輝かせているベアトリーチェ様に、私は関係ないと言い出せない雰囲気だ。
「冷えは女性の大敵よ! それに、今のうちから準備しておくことも大事よ?」
ズイッと前のめりになったベアトリーチェ様は、私の顔をのぞきこむ。
「前も思ったけど、日焼けしているじゃない! ちゃんとケアをしないと!」
ベアトリーチェ様は立ち上がると、ドレッサーから小さな箱を手にして戻ってきた。そして私の隣へ腰を下ろした。
「ほら、この美容液をあげるから、毎晩必ずぬって寝るのよ!」
手渡されたクリームは高級な香りがした。
「あら、なに、このガサガサの手!!」
私は畑仕事をするので、手が荒れていた。こればかりは仕方ない。
ベアトリーチェ様の綺麗な手に触れられ、さすがに恥ずかしい。顔がカアッと赤くなった。
「す、すみません。お見苦しい手で申し訳あり――」
「なにを言っているのよ」
ベアトリーチェ様は笑いながら遮った。
「働き者の手だわ」
「えっ……」
ベアトリーチェ様は次にクリームを手にすると、みずから私の手にぬった。
「これも毎日、ぬってから寝なさい。大切な手なんだから、もっと大事にしてあげないとかわいそうでしょう」
ふわりと心が落ち着くラベンダーの香りがする。
「この手でテオドールの病気も治してくれたのでしょう。感謝するわ」
ベアトリーチェ様は私の手にクリームを刷り込みながら、口を開く。
周囲にはテオドールの件は呪いではなく、私の作る癒しのしずくで回復したということになっている。あとはこの土地の気候と環境があっていたから、と。私の魔力については秘密事項だ。
「あのアレクが女性と付き合ったとテオドールから手紙をもらって、最初は信じられなかったわ」
ベアトリーチェ様はポツポツと語り始める。
「あの見た目だし、社交界に出れば女性がひっきりなしに寄ってきて。でもどこの令嬢が声をかけてきても、当たりさわりなく返答するだけ。むしろ、女性に囲まれるのを避けていたわ。公式の場でも最低限顔を出してすぐに消えるし、舞踏会なんてもっての他よ。よほどのことがなければ出席すらしないわ」
ベアトリーチェ様は肩をすくめた。
「アレクの恋人は剣だと、ずっと思っていたのよ」
だからこそ、国一番の剣士と言われる立場にまで登り詰めたのだろう。
「だからね」
ベアトリーチェ様は美しい顔ににっこりと微笑みを浮かべた。
「逃がさなくてよ」
「えっ?」
クリームがぬられてた手がいつの間にか、ギュッとつかまれた。
「そ、そうなのですね」
ふ、深い意味はないはずだ、多分。
目を輝かせているベアトリーチェ様に、私は関係ないと言い出せない雰囲気だ。
「冷えは女性の大敵よ! それに、今のうちから準備しておくことも大事よ?」
ズイッと前のめりになったベアトリーチェ様は、私の顔をのぞきこむ。
「前も思ったけど、日焼けしているじゃない! ちゃんとケアをしないと!」
ベアトリーチェ様は立ち上がると、ドレッサーから小さな箱を手にして戻ってきた。そして私の隣へ腰を下ろした。
「ほら、この美容液をあげるから、毎晩必ずぬって寝るのよ!」
手渡されたクリームは高級な香りがした。
「あら、なに、このガサガサの手!!」
私は畑仕事をするので、手が荒れていた。こればかりは仕方ない。
ベアトリーチェ様の綺麗な手に触れられ、さすがに恥ずかしい。顔がカアッと赤くなった。
「す、すみません。お見苦しい手で申し訳あり――」
「なにを言っているのよ」
ベアトリーチェ様は笑いながら遮った。
「働き者の手だわ」
「えっ……」
ベアトリーチェ様は次にクリームを手にすると、みずから私の手にぬった。
「これも毎日、ぬってから寝なさい。大切な手なんだから、もっと大事にしてあげないとかわいそうでしょう」
ふわりと心が落ち着くラベンダーの香りがする。
「この手でテオドールの病気も治してくれたのでしょう。感謝するわ」
ベアトリーチェ様は私の手にクリームを刷り込みながら、口を開く。
周囲にはテオドールの件は呪いではなく、私の作る癒しのしずくで回復したということになっている。あとはこの土地の気候と環境があっていたから、と。私の魔力については秘密事項だ。
「あのアレクが女性と付き合ったとテオドールから手紙をもらって、最初は信じられなかったわ」
ベアトリーチェ様はポツポツと語り始める。
「あの見た目だし、社交界に出れば女性がひっきりなしに寄ってきて。でもどこの令嬢が声をかけてきても、当たりさわりなく返答するだけ。むしろ、女性に囲まれるのを避けていたわ。公式の場でも最低限顔を出してすぐに消えるし、舞踏会なんてもっての他よ。よほどのことがなければ出席すらしないわ」
ベアトリーチェ様は肩をすくめた。
「アレクの恋人は剣だと、ずっと思っていたのよ」
だからこそ、国一番の剣士と言われる立場にまで登り詰めたのだろう。
「だからね」
ベアトリーチェ様は美しい顔ににっこりと微笑みを浮かべた。
「逃がさなくてよ」
「えっ?」
クリームがぬられてた手がいつの間にか、ギュッとつかまれた。
