【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「嘘よ、お姉さまにかぎって、そんなわけないわ!!」

 やはりレオナはすぐには納得しない。

「本当よ、このままいくと婚約よ! だから私はここを離れない!!」

 私は隣に立つアレク様の腕を取り、自身の腕と絡めた。

「ねえ、アレク?」

 顔を上げてにっこりと微笑む。ジッと私を見つめる彼に意図が伝わったようだ。
 同じように優しげに微笑む。

「ああ。そうだな」

 良かった、話を合わせてくれた!

「嘘よ、お姉さまのくせに……そんなに素敵な人……」

 レオナはアレク様を素敵だと認めるのが悔しいようだ。彼が私を選んだことが、信じられないのだろう。目をつり上げ顔を真っ赤にして鼻息は荒くなっている。

「君は僕という存在がいながら、裏切っていたということか!?」

 横でギルバートがごちゃごちゃ言い始めたが、ため息をつく。

「破談にして家を飛び出したはずよ。だから、もうあなたとは関係ない」

 ノクティス家と縁を切った私。ギルバートも私に固執しても、得することはないと早く気づいた方がいい。
 目の前でやり合っている光景を、アレク様は黙って見つめていた。
 しばらくすると、深く息を吐き出した。

「それで、リディアにどんな用があるんだ?」

 急にグイッと腰に腕が回された。密着した熱を感じ、頬が赤くなった。ここは平常心を保たないと。せっかく合わせてくれているのだから、演技を無駄にはできない。

「そ、それはあなたには関係ないわ」
「あるさ。俺は彼女の恋人だから」

 堂々と恋人宣言されるとレオナがひるむ。
 だが隣のギルバートが指を突き付けて叫んだ。

「嘘だっ。僕という、人格も見た目も申し分ない婚約者がどこにいる!? そこら辺の男に負けるはずが――」

 そこでギルバートは真正面から、ようやくアレク様を注視したのだろう。
 頭のてっぺんから足のつま先までジッと見たあと、ウッと息をのんだ。あきらかにひるんでいる。

「なんだ? 負けないとでも言うつもりか?」

 挑発的に首を傾げるアレク様だが、その姿でさえ、さまになっている。
 二人を交互に見ると、一目瞭然だった。アレク様の方が背も高いし、足も長い。だが顔の大きさはだけはギルバートが勝っていた。
 スラッとして人目を惹く容姿とは、まさに彼のことを言うのだと感心した。

 ギルバートはナルシストだが、自分より容姿の優れている人を見て、ショックを受けている。だが次第に、ギルバートはハッとした表情を見せた。アレク様の顔をまじまじと見つめ、硬直する。

 サッと視線を逸らしたと思うと、一歩後退する。
 そのままレオナの袖を引っ張る。

「か、帰ろう」

 途端に尻尾を巻いた弱気なギルバートの態度を疑問に思う。だが、レオナはギルバートの手を振り払う。