【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「家族が困っている時に、自分はこんな田舎で好き勝手に暮らして!! 家族なんだから支えようと思わないの!? お父さまに謝るなら今よ。仕方がないから私が間に入ってあげるわ」
「私が謝る? なぜ?」

 いい加減、我慢の限界がきた私も鼻で笑う。

「家族? 都合のいい時だけ、そんな言葉を使うのね」

 あれが家族だというのなら、私はそんなものいらない。
 冷ややかな視線でにらみつけると、レオナは少しひるんだ。

「それに婚約者のギルバート様も、今謝るなら許してくださるって!!」

 レオナが馬車に視線を向けると、ガチャリと扉の開く音が聞こえた。

 あれは――。

 馬車から下りてきたのはギルバートだった。

「リディア。久しぶりだね」

 私の前に久々に登場し、注目を浴びているのは俺と言わんばかりに、フッと髪をかきあげた。

 まさか、あなたもいるなんて。

「一度ぐらいの君の失礼な態度に目をつむるべきだと思ったんだ。それぐらい、侯爵家という肩書が魅力的――いや、僕は心が広いから」

 ちょっと、本音がだだ漏れしていますから。
 冷静になって、侯爵家との繋がりを捨てるのは惜しくなったに違いない。

「あれ、リディア……」

 ギルバートはプンプンと臭い香水をまき散らし、私の前に立った。

「君……こんなに綺麗だった?」

 腰を折り、私の顔をのぞき込むギルバート。その香りのきつさに顔を逸らす。

「ふふっ。君の考えがわかったよ」

 いきなり私の肩をポンと叩いたギルバート。反射的にその手を振り払った。

「いきなり触らないで」
「君、一連の騒動は僕の気を引くための芝居だったんだね。逃げると見せかけて追いかけさせる作戦か! 魅力的になった自分を見せたかったのだろう」

 ……どうしてそうなる。

「ここまで計算された演出とは、僕も驚いたな」
「違いますけど」

 思いっきり冷ややかな声を出す私。

「ふふ、照れなくてもいい。素直じゃないところも、嫌いじゃないよ」

 ギルバートは指をパチンと鳴らし、不敵な笑みを浮かべる。

 聞きなさいよ、人の話を!

「まあ、お姉さまってば。ちょっと前より見られるようになったらからって、そんなことを考えていたの!」

 お前も信じるな、レオナ!