呪術者の魔力が上だったら、私が鏡に施した封印の魔力など壊されていた。その結果、私が呪いに侵される可能性もあった。イチかバチかだったのだが、これは言わないでおこう。
「呪いをかけたのは……もしや王宮魔術師のバルカンか」
アレク様が険しい顔と共に小さくつぶやいた。
「必ず尻尾をつかんで、後悔させてやる」
怒りをにじませた声を聞き、あとは彼に任せることにした。
「それで、リディア」
彼は両手を組むと、首を傾げる。
「なにが、うまくいってよかったんだ? 俺に隠していることはないか」
優しげに首を傾げるが、目の奥が笑っていない。
「な、なんのことでしょうか」
上手くごまかそうと、目を逸らした。
「そうか。俺は聞いたことがあるぞ。呪いを封じるにはリスクもあると。呪術者より魔力が上じゃなければ、反対に呪われるとも」
し、知っていたんですね!
「さ、さすがアレク様は物知りですね」
褒めたつもりがアレク様は顔をゆがめ、鼻であざ笑った。だが、その笑顔を見た瞬間、背筋がゾッとする。
お、怒っていらっしゃる。
「無茶をしすぎだろう。確かにテオドールを助けたい気持ちはあったが、だからといって君だって命を粗末にしていいわけがない」
もし失敗しても、余命は残り少ないから、どうにでもなると思ったのだ。
「約束してくれ。もう無茶はしないと」
「わ、わかりました」
アレク様の真剣に怒っているのが伝わってきたので、すくみあがりつつ返答した。
「それで、なにか望むことはないか?」
「望み……ですか?」
「ああ、無茶をしたが助かったのは事実だ。なにか望むものを与えたい。――だいぶ無茶をしたが」
繰り返す彼は結構しつこい性格みたいだ。
今回の件でご褒美がもらえる、ってことかしら。
私はう~んと頭を悩ませた。
「そうですね……薬草を刈り取る鎌がちょっと錆びているから、それでしょうか。それとも、薬草が育ちやすくなるような、栄養たっぷりの土かしら」
ぶつぶつをつぶやいてるとアレク様は噴き出した。
「そんなくだらないことじゃなくて、もっと大きなものはないのか?」
「くだらない? 私の悩みをくだらないって言いました?」
太っ腹な人だと見直してたのに、人の欲しがるものにケチをつけるなんて!
「まあ、よく考えておけ。この貸しはかなり大きいからな。君が望むものは、なんでも一つ叶えてやる」
途端にスケールの大きいことを言うので、ちょっと言ってみたくなった。
「じゃ、じゃあ、私が豪華なお屋敷をくださいって言ったらどうするんですか?」
「この別荘をそのまま渡そう」
富豪か。
あっさり事もなげに告げるアレク様に私の方がびっくりする。
「それとも、もっと手広く農業をやりたいと言ったら……?」
「ここら辺の土地を丸ごと買い占めてやる」
いつになく真剣な彼の様子に思わず口元が緩む。
「冗談です」
口を開けて笑う私の手にそっと手が触れる。
「それだけ感謝しているってことだ。助かった」
アレク様はつかんだ私の手に力を込め、額に押し当てた。
指先の熱さを感じて、胸がドクッと音を出した。
「呪いをかけたのは……もしや王宮魔術師のバルカンか」
アレク様が険しい顔と共に小さくつぶやいた。
「必ず尻尾をつかんで、後悔させてやる」
怒りをにじませた声を聞き、あとは彼に任せることにした。
「それで、リディア」
彼は両手を組むと、首を傾げる。
「なにが、うまくいってよかったんだ? 俺に隠していることはないか」
優しげに首を傾げるが、目の奥が笑っていない。
「な、なんのことでしょうか」
上手くごまかそうと、目を逸らした。
「そうか。俺は聞いたことがあるぞ。呪いを封じるにはリスクもあると。呪術者より魔力が上じゃなければ、反対に呪われるとも」
し、知っていたんですね!
「さ、さすがアレク様は物知りですね」
褒めたつもりがアレク様は顔をゆがめ、鼻であざ笑った。だが、その笑顔を見た瞬間、背筋がゾッとする。
お、怒っていらっしゃる。
「無茶をしすぎだろう。確かにテオドールを助けたい気持ちはあったが、だからといって君だって命を粗末にしていいわけがない」
もし失敗しても、余命は残り少ないから、どうにでもなると思ったのだ。
「約束してくれ。もう無茶はしないと」
「わ、わかりました」
アレク様の真剣に怒っているのが伝わってきたので、すくみあがりつつ返答した。
「それで、なにか望むことはないか?」
「望み……ですか?」
「ああ、無茶をしたが助かったのは事実だ。なにか望むものを与えたい。――だいぶ無茶をしたが」
繰り返す彼は結構しつこい性格みたいだ。
今回の件でご褒美がもらえる、ってことかしら。
私はう~んと頭を悩ませた。
「そうですね……薬草を刈り取る鎌がちょっと錆びているから、それでしょうか。それとも、薬草が育ちやすくなるような、栄養たっぷりの土かしら」
ぶつぶつをつぶやいてるとアレク様は噴き出した。
「そんなくだらないことじゃなくて、もっと大きなものはないのか?」
「くだらない? 私の悩みをくだらないって言いました?」
太っ腹な人だと見直してたのに、人の欲しがるものにケチをつけるなんて!
「まあ、よく考えておけ。この貸しはかなり大きいからな。君が望むものは、なんでも一つ叶えてやる」
途端にスケールの大きいことを言うので、ちょっと言ってみたくなった。
「じゃ、じゃあ、私が豪華なお屋敷をくださいって言ったらどうするんですか?」
「この別荘をそのまま渡そう」
富豪か。
あっさり事もなげに告げるアレク様に私の方がびっくりする。
「それとも、もっと手広く農業をやりたいと言ったら……?」
「ここら辺の土地を丸ごと買い占めてやる」
いつになく真剣な彼の様子に思わず口元が緩む。
「冗談です」
口を開けて笑う私の手にそっと手が触れる。
「それだけ感謝しているってことだ。助かった」
アレク様はつかんだ私の手に力を込め、額に押し当てた。
指先の熱さを感じて、胸がドクッと音を出した。
