【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「それで呪いのことは、テオドールには伏せておいた方がいいだろう」

 アレク様の発言に、静かにうなずき同意する。
 多感な年頃だ。呪われていたと知れば、ショックを受けるはずだ。

「でもいったい、誰がテオドールを……‼」

 アレク様は険しい表情を見せたが、当然の反応だ。

「その件なのですが――」

 私は先ほどの鏡を取り出した。

「この鏡に呪いである闇の眷属を閉じ込めました」

 パカッとコンパクトを開くと鏡の中で黒いモノが蠢いている。まるでここから出せ、とでも言っているようだ。

「あらかじめ鏡に封印の魔力を施しました。私が封印を解除するまで呪いは出られません」
「これがテオドールを苦しめていたのか……」

 冷ややかな顔を見せるアレク様に向かい、息をスッと吸い込んだ。

「――そうですね、名前をつけましょうか?」

 私の提案にアレク様は目を丸くした。

「しばらく手元に置くのだから、名前がないと呼びにくいですし……」
「そもそも名前を呼ぶことなんてあるのか⁉」
「ありますよ。そうですね……」

 私は頭を悩ませた。蛇みたいにニョロニョロしているからニョロリとか。いや、センスが……。

「あっ、ミミリーなんてどうですか?」

 先日畑を耕していたら、土から姿を現したミミズから閃いた。
 アレク様は呆れ顔で小さく息を吐き出した。

「……好きにするといい」
「ではミミリーに決定です!」

 鏡に向かって言葉をかけた。

「名前を刻むことで、契約や誓約を絶対化したり、力を支配することもできるのですよ。万が一のこともありますしね。それに、私がわざわざ封印したのは理由があります。呪詛返し、って知っていますか?」
「言葉では聞いたことがあるのだが……」

 険しい顔をするアレク様の目を見つめる。

「アレク様、因果応報って知っていますか?」
 アレク様はゆっくりとうなずいた。

「呪いをかけた相手がわかれば、相手に返すことができます。本来なら、魔力は人のために使うもの。その力を私利私欲のために使えば、反動で報いがきます。呪いなど、もってのほかです」

 呪詛返しは呪術者の魔力より、私の方が強い場合に可能となる。今回、私が封印できたことで、私の方が、呪術者より魔力が上だと判明した。

「今回はうまくいってホッとしました」

 ボソッとつぶやいた。