【WEB版】無能才女は余命わずかなようなので、 最後に好きにさせていただきます ~クズ家族と離れたら健康になるどころか、稀代の才能が開花しました~

「ふむふむ、なるほど。あっ、魔力と相性のいい薬草のリストもあるわね、さすがだわ。それにここは――」

 少しだけ内容を確認するつもりが、ページをめくる手が止まらない。
 指でなぞっていると背後から、アレク様がヌッと顔を出した。

「古語もわかるのか?」

 わ、びっくりした。興奮のあまり、人がいるのを一瞬忘れていた。

「はい」

 即答した私にアレク様は腕を組んだ。

「すごいな、古語はかなり解読が難しいから大変だっただろう。教師に教わったのか?」
「いいえ」

 どうしてこんなことを聞いてくるのだろう。不思議に思いながら、目をパチクリさせた。

「すべて独学ですわ」

 あっさり返答するとアレク様は驚いたのか目を見開く。

「私、本が大好きで。ここに来る前は本が友達でしたの。新しい知識を吸収できるから、古語の取得も苦ではなかったですわ」

 最初は意味不明だったが、そうなればがぜんやる気が出るもの。古語を解読すれば古い本も読めるようになる、つまりは新しい知識が増えるようになるので、頑張ったのだ。その結果、なんとか取得でき、実家にある、ホコリを被って誰にも読まれなかった古い本も読破することができた。

「そうか、すごいな。古語の授業は抜け出していた俺からみれば尊敬に値する」

 アレク様は真正面から誉めてくれるが、不思議な気持ちになる。

「それほどでもないです。自分のためでしたので、ちっとも苦ではなかったですわ」

 授業を抜け出していただなんて、そんな自由奔放な時もあったのだな。想像してフフッと笑う。

「君はもっと自分を誇りに思ってもいいんだ」
「えっ」

 笑っていると真剣な声が聞こえたので顔を上げる。

「古語の解読ができるのは、誰もができることではない。根気よく最後まで付き合って身につけたことは胸を張ってもいい」

 真っ直ぐな言葉をかけられて、最初はどう反応したらいいかわからなかった。でも、心のどこかがふわりとほどけた。私の努力など、誰にも認められたことがなかったので、胸がじんわりと温かくなる。

「それはそうと、出かけるのか?」

 褒められ慣れてないので反応に困っていると、別の話題がふられた。

「ええ、近くの療養施設に顔を出そうと思っています」

 するとアレク様は興味を示し、自分も一緒に行くと言い出した。そして馬車で乗せて行ってくれることになつた。私としては移動時間が省けるので助かる。