人には魔力の流れる神経があると言われている、心臓から魔力が駆け巡り、そして全身にいきわたったイメージをしたあと、一気に手の平に魔力を集中させ、床に手をつけた。
「――大地の恵みよ、命を満たせ、癒しの力を与えよ」
言葉を紡ぐと手から力が放出される感覚にめまいがした。
魔法陣が青白く輝き、その間は力を放出するのに集中する。
やがて魔法陣の光が徐々に消滅すると、私も全身から力が抜けた。
「……ふぅ。なんとかできたかしら」
ああ、緊張した。
私はここに越してきてから、魔力に目覚めたみたい。あの日、シリルの背中をさすった時に確信した。
熱い力が全身をかけめぐる感覚は経験したことがなかった。だが、本に書かれていた魔力に目覚めた時の描写そのものだったので、もしかしてと思ったのだ。
それに気づいてからの行動は早かった。昔から独学で勉強していた魔法陣を描き、日々薬草を採取して作った癒しのしずくに、魔力を注入する日々。その方が効果が倍増するはずだからだ。
最初はなんの変化もみられなかった。時には失敗したこともある。すっごく苦くなったり、色が泥水みたいになったり。だが回数を重ねると、魔力の加減ができるようになってきた。
私は魔法陣の上に置かれた癒しのしずくを一つ手に取り、しげしげと眺めた。
「うん、色は透き通っているわ」
魔力を注ぐ前は緑色をしていた。次に蓋を取って手であおぐ。
「匂いもなし! いい感じね」
最後、一番大事な味の確認だ。私はえいや、っと気合を入れてゴクゴクと飲み干した。
「う~ん、味だけはやっぱり、まだ苦みが消せないかなぁ」
後味に残る苦みだけは、どうにも消すことができないでいる。
「次はリラックス効果のあるモルムの葉も入れてみようかしら? あの葉は甘いし」
薬草図鑑を片手に試行錯誤だ。
日々、こんな感じで夜はふけていく。
魔力を注入するようになった癒しのしずくはまだ試作段階なので、自分で試しているだけだ。そのおかげなのか、ここ最近は元気いっぱいだ。
子供たちに飲ませる前に効果を確認したい。
なにかいい方法はないものかしら?
頭をひねりながら、眠りについたのだった。
解決策は意外にも、すぐに思いついた。
隣家のおかみさんに、新しい回復薬をどこで試そうか相談してみたのだ。
「それなら家のロバに飲ませてみるかい? 疲れぎみなのか、元気がなくなってきてさ」
「ぜひ、お願いします」
ロバに飲ませると、すぐに元気を取り戻した。
そこからおかみさんに紹介してもらい、畑仕事繋がりで、家畜に癒しのしずくを飲ませることに成功した。
薬草で元気になる薬を作っていると言い、怪しむ人の前では実際に私が飲んで見せた。
結果、足を引きずっていた牛は翌日には歩けるようになり、犬同士のケンカでできたキズもかなり薄くなっていた。
これならもっと回数を重ねれば、療養施設の子供たちに渡せるようになるかも。
余命が決まっている私だからこそ、人のためにできることをやりたい。
私で救える命があるのなら、ここで魔力に目覚めた意味だって、きっとある。
元気になった家畜を見ながら、確かな手ごたえを感じていた。
それからも深夜の癒しのしずく作りはコツコツと続いていた
感覚もつかんできたし、そう集中せずとも、手のひらから魔力を放出できるようになった。
そして今日は、一週間ぶりにテオドールの屋敷を訪れる。前回、約束したほうれん草を多めにカゴにつめてきた。
前に会った時、テオドールは体調が悪そうだったけど、今はどうなのかしら?
「――大地の恵みよ、命を満たせ、癒しの力を与えよ」
言葉を紡ぐと手から力が放出される感覚にめまいがした。
魔法陣が青白く輝き、その間は力を放出するのに集中する。
やがて魔法陣の光が徐々に消滅すると、私も全身から力が抜けた。
「……ふぅ。なんとかできたかしら」
ああ、緊張した。
私はここに越してきてから、魔力に目覚めたみたい。あの日、シリルの背中をさすった時に確信した。
熱い力が全身をかけめぐる感覚は経験したことがなかった。だが、本に書かれていた魔力に目覚めた時の描写そのものだったので、もしかしてと思ったのだ。
それに気づいてからの行動は早かった。昔から独学で勉強していた魔法陣を描き、日々薬草を採取して作った癒しのしずくに、魔力を注入する日々。その方が効果が倍増するはずだからだ。
最初はなんの変化もみられなかった。時には失敗したこともある。すっごく苦くなったり、色が泥水みたいになったり。だが回数を重ねると、魔力の加減ができるようになってきた。
私は魔法陣の上に置かれた癒しのしずくを一つ手に取り、しげしげと眺めた。
「うん、色は透き通っているわ」
魔力を注ぐ前は緑色をしていた。次に蓋を取って手であおぐ。
「匂いもなし! いい感じね」
最後、一番大事な味の確認だ。私はえいや、っと気合を入れてゴクゴクと飲み干した。
「う~ん、味だけはやっぱり、まだ苦みが消せないかなぁ」
後味に残る苦みだけは、どうにも消すことができないでいる。
「次はリラックス効果のあるモルムの葉も入れてみようかしら? あの葉は甘いし」
薬草図鑑を片手に試行錯誤だ。
日々、こんな感じで夜はふけていく。
魔力を注入するようになった癒しのしずくはまだ試作段階なので、自分で試しているだけだ。そのおかげなのか、ここ最近は元気いっぱいだ。
子供たちに飲ませる前に効果を確認したい。
なにかいい方法はないものかしら?
頭をひねりながら、眠りについたのだった。
解決策は意外にも、すぐに思いついた。
隣家のおかみさんに、新しい回復薬をどこで試そうか相談してみたのだ。
「それなら家のロバに飲ませてみるかい? 疲れぎみなのか、元気がなくなってきてさ」
「ぜひ、お願いします」
ロバに飲ませると、すぐに元気を取り戻した。
そこからおかみさんに紹介してもらい、畑仕事繋がりで、家畜に癒しのしずくを飲ませることに成功した。
薬草で元気になる薬を作っていると言い、怪しむ人の前では実際に私が飲んで見せた。
結果、足を引きずっていた牛は翌日には歩けるようになり、犬同士のケンカでできたキズもかなり薄くなっていた。
これならもっと回数を重ねれば、療養施設の子供たちに渡せるようになるかも。
余命が決まっている私だからこそ、人のためにできることをやりたい。
私で救える命があるのなら、ここで魔力に目覚めた意味だって、きっとある。
元気になった家畜を見ながら、確かな手ごたえを感じていた。
それからも深夜の癒しのしずく作りはコツコツと続いていた
感覚もつかんできたし、そう集中せずとも、手のひらから魔力を放出できるようになった。
そして今日は、一週間ぶりにテオドールの屋敷を訪れる。前回、約束したほうれん草を多めにカゴにつめてきた。
前に会った時、テオドールは体調が悪そうだったけど、今はどうなのかしら?
