この恋に名前をつけるとするならば



次の日。
わたしは間違えて自宅に届けてしまったCDを実家に配送する為、コンビニを訪れた。

「じゃあ、お願いします。」
「はい、お預かり致しますね。」

今はコンビニで簡単に配送手配出来てしまうのだから、便利になったものだ。

それからわたしは、"ある物"を手に、ある場所へと向かおうとしていた。

「場所が"サウンドハウス"、開演18時から。」

そう、わたしは昨日蔵間さんに頂いたライブチケットのライブに行こうとしているのだ。

(せっかく頂いたのに、行かないのは失礼だよね。)

そう思いながらも、これまで一度も行った事のないライブに行こうとしている自分に何だか緊張してしまう。

(開場は17時になってる。)

スマホで時刻を確認すると、現在の時刻は"16時8分"。

(ちょっと早すぎちゃったな。でもライブハウスの場所だけ確認しとこう。)

そう思いながら、ライブハウスがあるはずの曲がり角を曲がった瞬間、わたしの口からは「えっ······嘘でしょ?」と言う驚きの言葉が漏れていた。

何と、まだ開場までに約一時間あるというのに、ライブハウスがある場所の前には長蛇の列が何度も折り返しながら連なっていたのだ。

(ひぇ〜···、そんなに人気のあるバンドなんだ。)

場所をちょっとだけ確認して、近くでお茶でもしながら開場時間が迫るのを待とうと考えていたのだが、目の前に並ぶ人集りに(並ぶしかないか···!)と何故か燃えてしまうわたし。

わたしは『最後尾』と書かれた看板を持つスタッフを見つけると、その一番後ろへと並んだ。

(並んでるのは、みんなファンの人たちだよね···当然だけど。)

そう思いながら並ぶ人たちを観察してみると、大半は女性ファンで年齢層は10代から30代までが多いように感じた。
しかし、中には40代以上だろうという雰囲気の人も居て、自分の母と重ねて見てしまう。

そして、わたしの目の前に並ぶ20代らしき女子二人が背負うリュックには、"Ash Regal"と書かれたリストバンドや、マスコットキャラクターなのか、"Ash Regal"Tシャツを着る白い犬のキーホルダーがぶら下がっていた。