この恋に名前をつけるとするならば



"俺は···、ずっと前から、麗月が好きだ。"――――

突然の雅からの告白。

この状況をどうしたらいいのか······
そう思っていると、ソファーの上に置かれていた雅のスマホが鳴り出した。

「チッ、何だよ。このタイミングで···」

雅はそう苛立ちながらわたしから離れると、スマホを手に取り電話に出た。

わたしは正直、ホッとした。
雅からあんな事を言われ、何と返したら良いのか分からなかったからだ。

雅は怠そうに電話の相手と話し「分かったよ、今行く。」と言い、電話を切ると「ちょっと出て来る。」とだけ言って、スマホと財布だけを持ち、出て行ってしまった。

一人部屋に残されたわたしは、身体の力が抜け、その場に座り込んでしまった。

いつもわたしをからかってばかりの雅の真剣な表情。
そこには、なぜか焦りや苛立ちも含まれていたように感じた。

(あんな雅···、初めて見たなぁ。)

その日の夜、雅は帰って来なかった。

どこに行ったのかも分からない。

わたしは雅のことが気になりつつも、やはり頭の中の大半を占めているのは命くんの存在だった。

(来週の土曜日のシークレットライブ···、行っていいのかなぁ。)

本心は、もちろん行きたい。
しかし、芽衣さんの事が気になり、行っていいものなのか悩んでしまう。

芽衣さんはきっと、命くんの事が好きなのだ。
それを分かっていて行くわたしは、意地悪だろうか。

芽衣さんをライバルだと思っているわけではない。
負けるもんか!みたいに強気でいるわけでもない。

わたしはただ、命くんに会いたいだけなのだ。