この恋に名前をつけるとするならば


すると、電話の向こう側から『ちょっと命!誰と電話してんのよお?!』という声が聞こえてきた。
わたしはその声が芽衣さんであると、すぐに気付いた。

『うわっ、芽衣にバレた。』

面倒くさそうな命くんの声色に「クスッ」と笑ってしまう。

『あのぉ、麗月さん。来週の土曜日、何か予定ありますか?』
「えっ?来週の土曜日?特に何もないと思うけど。」
『マジっすか?!実は来週の土曜日、シークレットライブやるんですよ!』

そう話す命くんの後ろから『命ー!ご飯だってばー!』と急かす芽衣さんの声が聞こえる。

命くんは『わかった、今行くから!』と電話の向こうの芽衣さんに返事をすると、『"SS CLUB"ってハコで17時半からです!麗月さん、待ってます。』と早口で言うと、『それじゃあ、芽衣がうるさいんで切りますね。また。』と電話を切ってしまった。

わたしは電話が切れてしまったスマホを耳から離し、スマホを見つめた。

(来週の土曜日、"SS CLUB"で17時半からって言ってたよね。)

また命くんに会える···――――
そう思うと、嬉しさがグッと込み上げてきた。

わたしはスマホをベッドに置くと、立ち上がり寝室から出ようとドアの方へ向かった。
そしてドアを開けると、すぐ目の前には不服そうな表情の雅が立っていた。

「誰と電話してたんだよ。」
「別に、誰とだっていいでしょ?」

わたしがそう答えると、雅は黙ったままわたしを見下ろし、それから「あの男か?」と言った。

「あの男って?」
「前にお前を背負って帰って来た、あの男だよ。俺の麗月に触りやがって。」
「わたしは、雅のものじゃありませんけど?」

わたしはそう言い、雅の横を通り寝室から出ると「あー、お腹空いてきちゃった!」と言い、キッチンへと向かった。