「えっ···、これ、もしかして、命くんの番号?」
その確信はなかったが、可能性は充分にあると思った。
(どうしよ···、この番号に掛けてみてもいいかなぁ?いや、でも違ったら······)
わたしは迷った。
しかし、(命くんの声が聞きたい。)その思いから、わたしはベッドから身体を起こし、バッグの中からスマホを取り出すと、"ロック"のキャップ帽子裏に書かれている番号に電話をかけてみる事にした。
(もし違う人が出たら、謝って切ればいいよね。)
緊張で微かに震える指先で番号を押していく。
そして、心臓の音が全身に響く中、わたしは耳にスマホをあてた。
スマホには、呼出音が鳴り響く。
その音は、やけに長く聞こえた。
(···出ないかな。)
少し諦めかけた、その時だった。
『はい、もしもし。』
スマホの向こうから聞こえてきた、わたしが聞きたかった声。
その瞬間、わたしは息が詰まりそうな程、色んな感情が込み上げてきた。
「も、もしもし?」
わたしが恐る恐る言うと、スマホの向こうからは『もしかして、麗月さん?!』と言う、紛れも無い命くんの声がしたのだった。
『番号、気付いてくれたんすね!』
「偶然気付けて、今掛けてみたの。」
『わぁ〜!嬉しい!良かったぁ、もう麗月さんと連絡つかなかったら、どうしようかと思ってて。』
命くんの言葉に心が温かくなっていくのを感じた。
(命くんも、わたしと同じ気持ちで居てくれてたんだ。)
「あ、でも···このマスコット、大事なものなんだよね?メンバーしか持ってない大事なものだって聞いたから···」
『まぁ、確かに大事なものですけど。』
「今度会える時があったら返すね!」
わたしがそう言うと、命くんは『いや、返さなくていいですよ。』と言った。
「え、でもぉ······」
『それは、麗月さんが持っててください。』
「でも、大事なものなのに······」
『俺の大事なものだから、麗月さんに持っててほしんです。それに、麗月さんに持っててもらったら、麗月さんと繋がっていられてる気がするんで。』
優しく穏やかな口調でそう言う命くん。
"麗月さんと繋がっていられてる気がするんで"――――
わたしはその言葉が嬉しくて、「うん、わかった···。じゃあ、わたしが持ってるね。」と返事をした。



