「ただいまぁ。」
帰宅すると、キッチンに立つ雅が「おう、おかえり!」と迎えてくれた。
「今日は牛丼だぞ〜。」
「ありがとう。でも、今はまたいいや。」
わたしがそう言うと、雅は寝室の方へ向かって歩くわたしを目で追い「どうしたんだよ、元気ねーな。」と言った。
「ちょっと疲れてるだけ。雅、先にご飯食べてていいからね。」
わたしはそう言って寝室に籠ると、ベッドの上に寝転がり、命くんを想いながら"ロック"を見つめた。
「はぁ······」
今頃、郁人さんと芽衣さんは命くんの家に居るんだろうか。
カレーを作るって言ってたっけ。
命くんって、カレーが好きなんだなぁ。
白猫運輸のキャップ帽子の下から覗かせる命くんの笑顔が好きだった。
そんな事を思い出しながら、わたしは"ロック"が被る帽子に何気無く手を触れてみる。
すると、"ロック"が被るキャップ帽子がポロッと取れてしまった。
「あっ!やばっ!」
わたしは慌てて落ちそうになったキャップ帽子を拾おうとしたが、"ロック"が被っていたキャップ帽子はチェーンで繋がり落ちる事はなかった。
(良かったぁ···壊しちゃったかと思った。)
そう胸を撫で下ろし、"ロック"にキャップ帽子を被せようとした時、わたしはキャップ帽子の裏に何か書いてある事に気付いた。
(ん?何だろう。)
そう思いながら、"ロック"のキャップ帽子を裏返して見てみると、そこには"080"から始まる電話番号のような数字が書かれていたのだ。



