この恋に名前をつけるとするならば


雅は面白くなさそうな表情を浮かべながらソファーから起き上がると、「飯作っといたぞ。」と言った。

「え、本当?ありがとう。」
「今日は麗月の好きなミネストローネとハンバーグ。」
「さすが雅!わかってるぅ〜」
「だろ?」

キッチンに立ち、鍋に入ったミネストローネを温め直そうとしてくれる雅。
わたしは寝室に向かうと、「着替えてくるね。」と言い、ドアを閉めようとした。

「麗月。」

寝室のドアを閉めかけた時、雅がわたしを呼ぶ。
わたしが「何?」と振り返ると、雅は少し間を空けてから「いや、やっぱいいや。」と言い、「早く着替えて来いよー。」と言った。

(ん?呼び止めておいて、何だったんだろ。)

疑問に思いながらも、わたしは寝室に入ると部屋着に着替え、それから雅と共に雅お手製の夕飯を二人で食べたのだった。



そして、次の週。
わたしは、またいつもと変わらぬ一週間が始まると思っていた。

しかし、その日は突然訪れた。

「どうも、こんにちは!白猫運輸です!」

その声に違和感を感じたわたしは、ふと玄関の方を見る。

すると、集荷にやって来たのは、命くんではなく別のドライバーさんだった。

「えっ、あ、お疲れ様です。」

突然の事に戸惑うわたし。

(え?命くんは?)

「今日、荷物あります?」
「あ、はい。一通だけ。」
「お預かりしますね。」
「···あのぉ、いつもの集荷は蔵間さんが来てくれるんですけど、今日は?」

わたしがそう訊くと、胸に"駒場(こまば)"と書いた名札を下げた初めて来るドライバーさんは、「あぁ······」と言って少し困ったような表情を浮かべた。

「···実は、昨日付けで辞めたんですよ。」
「えっ?!辞めた?!」

(命くんが白猫運輸を辞めた?!先週来た時は、何も言ってなかったのに···)

「辞めたって、どうして?理由は?!」

わたしが駒場さんに詰め寄り、そう訊くと、駒場さんは「んー···、言っていいのかなぁ。」と呟きながら、他に誰か居ないか辺りをキョロキョロ見回した。