この恋に名前をつけるとするならば


(行きたいところ···、命くんと行きたいところ······)

わたしはその日の仕事帰り、その事ばかりを考えながら家路を歩いた。

命くんの事は、まだまだ分からない事だらけ。
わたしの中での命くんは"白猫運輸さん"と"バンドマン"のままだ···――――

(命くんは、他に何が好きなんだろう。)

そんな事を考えながら、「ただいまぁ。」と自宅アパートに帰宅する。

すると、いつも「おかえり〜。」と返ってくる怠そうな声は返って来ず、わたしがリビングを覗いて見ると、ソファーの上で雅は眠ってしまっていた。

「寝てるのかぁ。」

仰向けになり眠る雅の少し捲れたTシャツからは、割れた腹筋が顔を覗かせていた。

(結構いい身体してるんだなぁ。)

そんな事を思いながら、わたしは薄手の毛布を雅に掛けようとした。

その瞬間、寝ているはずの雅の腕が伸びてきて、気付けばわたしは雅の腕の中に居た。

「えっ?!ちょ、雅?!」
「おかえり。」
「ちょっと、寝たふりしてたの?!」
「んー、寝てたけど、今起きた。」

雅の上に倒れ込んでいる状態のわたしは、慌てて起きあがろうとするが、雅はなかなか腕を離してくれない。

「ちょっと、離してよ。」
「やだ。」
「やだじゃなくて!」

わたしが抵抗していると、余裕そうな表情の雅は下からわたしを見上げながら「今、俺の腹筋に見惚れてただろ?」と言った。

「はあ?!別に見惚れてなんか!」
「脱いでちゃんと見せてやろうか?」
「結構です!」

わたしは力ずくで雅の腕から抜け出すと、「もう、風邪引いちゃうと思って毛布掛けようと思ったのに。やめとけば良かった。」と言って、乱れた服と髪の毛を整えた。