この恋に名前をつけるとするならば


「誰?その男。」

命くんに背負われたわたしの姿を軽蔑するような目で見る雅。

わたしは突然の雅の登場に酔いが冷め、命くんの背中から降りると、雅に駆け寄った。

「それより何でここにいるのよ!」
「ん?ついさっき帰国して来たから。」
「聞いてないよ!」
「だって、言ってないし。」

わたしが雅とやり取りをしていると、後ろからゆっくりと命くんが歩み寄って来て、命くんは雅の目の前で立ち止まり、雅の顔をジーッと見つめた。

「···もしかして、ギタリストのMIYAVIさん?」

命くんの言葉にわたしは「えっ?知ってるの?」と問い掛ける。
すると命くんは興奮した様子で「知ってるも何も、海外でめちゃくちゃ有名なギタリストじゃないですかぁ!」と目を輝かせていた。

(雅って、そんな有名人なんだ。)

そんな事など全く知らなかったわたしは、命くんの興奮ぶりに雅の凄さを知る。

雅は、全く表情一つ変えずに命くんを見ると、それから突然わたしの肩に腕を回してきた。

「麗月、今日泊めて。」
「えぇ?!」
「今、帰国して来たばっかだから泊まるとこねーんだよ。」
「いや!でも、うち狭いし!」
「いいからいいから。お前んち、2階だったよな?」

そう言って、強引にわたしの家に上がろうとする雅。

わたしは雅に連れられながら後ろを振り返ると、「命くん、今日はありがとう!ご馳走様!」と言い、手を振った。

後ろには、ポカーンとした表情で手を振り返してくれている命くんの姿が見えた。

(もう、何でこのタイミングで···、命くんにはまた改めてお礼言わないと。)

そう思いながら、アパートの2階に上がったわたしは家の鍵を開け、仕方なく雅を家に入れた。

雅は「はぁ〜!肩いてぇ〜!」と言いながら、担いでいたギターケースを下ろし、ソファーの上にダイブしていた。

(まるで自分の家のように寛ぐよね〜。)

遠慮を知らない雅の姿にわたしは小さな溜め息を吐いた。