この恋に名前をつけるとするならば


「そういえば、命くんっていつからバンド活動してるの?」

わたしがそう訊くと、命くんは一度お肉を焼く手を止め、思い出そうと宙を見上げた。

「本格的に始めたのは、20歳の時ですかね。俺等メンバー全員、高校が一緒なんですよ。」
「そうなんだぁ。みんな同級生?」
「いや、俺とドラムの春輝は同級生ですけど、郁人と芽衣は1個上です。あ、ちなみになんですけど、郁人と芽衣は双子の兄妹なんですよ。全然似てませんけど。」

命くんの話を聞き、(そういえば、お母さんもそんな事言ってたなぁ。)と思い出す。

命くんは水を飲むかのようにビールを喉に流し込んでいくと、次はハイボールを注文していた。

「メンバーの人たちとの初対面···、わたしあんな感じだったから、絶対引かれちゃったよね······」

そう言ってわたしが苦笑いを浮かべると、命くんは「いや、全然!あいつらチャラそうですけど、意外と真面目なとこあるんで。」と言った後、少し間を空けてから「春輝はちょっと例外ですけどね。」と付け加えていた。

「でも、ほら、キーボードの···」
「あぁ、芽衣ですか?」
「怒らせちゃったから、ずっと気になってて···」
「あいつはいつもあんな感じなんで、気にしないでください。」

命くんはそう言うものの、わたしはどうしても芽衣さんの言動に引っ掛かりを感じていた。
あれは明らかに命くんに対して好意があっての、わたしへの敵対心だ。

(あまり命くんと仲良くしない方がいいのかな···)

「メンバーの話はここまでにして、じゃあ次、俺から質問いいですか?」

命くんはテーブルに腕を置き、前のめりになるとわたしを真っ直ぐに見つめた。

「質問?何?」
「麗月さんって、彼氏いますか?」

命くんの質問に「あー、居ない居ない!」と手を横に振るわたし。

すると命くんは小さくガッツポーズをして「よっしゃっ!」と言った。