この恋に名前をつけるとするならば


そして定時の17時半になり、退勤したわたしは、待ち合わせの19時までまだ時間がある為、一度帰宅する事にした。

(一応デートだし、それなりにお洒落した方がいいよね。でも、あんまり気合い入れ過ぎても···。デートなんて久しぶり過ぎて、どうしたらいいのか忘れちゃったよ!)

わたしは何度も服を着替えながら、(これはちょっと地味過ぎかな。)(いや、これはちょっと派手だな。)(これはカジュアル過ぎるよね···)など鏡の前で自分とにらめっこを繰り返していたのだが、気付けば約束の19時が迫っている事に焦ると、結局は小花柄が入ったネイビーのワンピースを着て行く事にした。

待ち合わせ場所は、わたしが勤める職場の最寄り駅前。

待ち合わせ場所に到着すると、そこには既に命くんの姿があり、命くんはわたしに気付くと、爽やかな笑顔で手を振ってくれた。

「ごめんね、お待たせしちゃって!」
「いや、俺も今来たばっかりなんで!」

そう言う命くんの今日のスタイリングは、黒いTシャツに太めのデニム、クロブチ眼鏡を掛けたシンプルな服装だった。

(服装がシンプルなのに、何でこんなにお洒落に見えるんだろう。)

そう思いながら、ついつい命くんを観察してしまっていたわたし。

命くんはそんなわたしを見て「どうかしました?」と言い、わたしは「あ!ううん!何でもない!あー、お腹空いちゃった!」と誤魔化した。

「さて、行こっか!」

わたしがそう言って歩き出そうとすると、パッと手首を掴まれ、驚いたわたしは命くんを見上げる。

長身の命くんは少し屈みながらわたしをジーッと見つめ「麗月さんの事、もうちょっと見せてください。」と言った。

その言葉と命くんとの距離感に照れて、顔が火照っていくのを感じる。

命くんはニッと口角を上げると「今日も綺麗ですね。」と言い、またもやわたしの心拍数を意図も簡単に上げてきた。

「さっ、行きましょうか!こっちですよ!」

そう言って歩き出す命くんの左手は、わたしの右手を掴んで離さなかった。