【完結】天才弁護士の溺愛ミステリー

私は被疑者の南野香織(みなみのかおり)さんの元に向かった。
車は持っていないので、もっぱらタクシーで移動する。
こんな時にも、宇賀神先生のありがたみが分かるというものだ。
だけど、今朝のやる気の無さは何!?
あれじゃあ、ただのセクハラ弁護士である。

まぁ、不満が溜まってるんでしょうけど…

とにかく私は被疑者の拘置所に到着し、面会した。

「あら?
宇賀神先生は…確か男性だとお聞きしていましたけど…?」

南野さんは不審そうにそう言った。

「同じ黒川法律事務所の姫川です。
宇賀神先生はちょっと体調不良でして…
私が今日はお話しをお伺いします。」

私は名刺を見せながら、そう言った。

「そうですか…」

「えぇと、まず…
今回の被疑者として逮捕されたのは…」

私は事実確認をする。

今回の事件はとある女子会で起こった。
ある女子のマンションに集まった女性陣が、それぞれ飲み物や食べ物を持参するという形のホームパーティーが開かれたのだ。

パスタやデザート、お茶を飲み、人の悪口や噂話で盛り上がっていた彼女達の楽しい女子会は一転した。
1人の女性・幸田美来(こうだみく)さんが突如嘔吐して倒れたのだ。
すぐに救急車を呼び、病院に運ばれたが、彼女は死亡した。
遅延性の毒が盛られていたらしい。

そこで、毒物を調べたところ、幸田さんのティーカップに毒物が塗られており、紅茶を用意する係だった南野さんが逮捕された、と言う訳だ…

「その通りです。
でも、私は紅茶のカップに毒なんて塗っていません!
きっと誰かにハメられたんです!」

彼女は言う。

「分かりました。
完全無罪を主張する形ですね。
では、私はその為の調査を始めます。
何か思い出した事があったら、次の面会で教えてください。」

私はそう言って、拘置所を後にした。

タクシー呼ばなくちゃ…
寒っ…

そう思った時…

「綾乃…!」

宇賀神先生の声がした。

「先生!?」

「乗ってください。」

先生は言い、助手席のドアを開ける。

「先生、来ないんじゃ…」

「あなた1人じゃ不安ですからねぇ。
まぁ、今回は僕は応援と言う事で。」

「不安って…
何ですか、それ…」

「それより、面会はどうでしたか?
事件の概要は書類で確認しましたが。」

「毒物は入れてないそうです。
誰かにハメられた、と。
とにかく無罪を主張する方針になりました。」

「なるほど…」

「先生は事件の概要を知ってどう思われますか?」

私は尋ねた。

「そうですね。
誰にでも毒物を混ぜるタイミングはあったのに、南野さんだけを被疑者とするのはあまり納得いきませんね。」

先生は言う。

「そうですよね!
聞き取りに向かいましょう!」

私は意気込んで言った。

「やれやれ…」

先生が小さくそう呟いたのは、私には聞こえなかった…