【完結】天才弁護士の溺愛ミステリー

「事件以前に何か変わった事、ですか?」

川上さんは首を捻りながらそう言った。

「えぇ、どんな小さなことでも構いません。
何かありませんでしたか?」

「そうねぇ…
何人か部屋に尋ねて来た人が居ましたわ。
インスタグラマーの鈴木さんはオパールのネックレスが見てみたい、と。
あぁ、それから、会社社長の安藤さんは、自分の部屋と間違ったらしくて…」

川上さんが笑いながら言う。

「自分の部屋と間違えた?
では、入って来たのですか?」

宇賀神先生。

「いいえ、その時は内鍵をかけていました。
ノックされて、来客かと思って出たら、安藤さんが自分の部屋と間違えた、と。」

「…この事件、犯人が分かりましたよ」

先生は言った。

「えぇ!?
誰なんですか!?」

「会社社長の安藤さんですよ。
良いですか、綾乃?
もしも、自分の部屋に入る時、どうしますか?」

「えーと、普通に開けるんじゃないですか?」

「そうです。
なのに、川上さんは《《ノック》》している。
これは、他人の部屋だと知っていたからです。
ノックをして、中に人が居るかどうか確かめようとしたのでしょう。
つまり、犯人は安藤さんです。」

そして、この推理を伝えると、安藤さんは自白した。

会社がピンチで、金目の物を探していたらしい。

こうして、豪華客船の宝石泥棒事件は幕を下ろしたのだった。

私たちのイチャイチャはもちろんお預けのままだったとさ。