【完結】天才弁護士の溺愛ミステリー

「それは…」

私は口籠る。
確かに…
この広い豪華客船の中から犯人を見つけ出すのは、不可能にも思われた…

「と、とにかく宝石を盗まれた奥様に話を聞きにいきましょう!?」

私は言った。
不可能だからと言って部屋に丸まっている訳にはいかないのである。

「はぁ…
はいはい…」

しょぼくれた宇賀神先生が私の後からやる気なく付いてくる。

♦︎♦︎♦︎

豪華客船の客室は、スイート、ジュニアスイート、海側ツイン、内側ツイン、の4種類に分かれている。

階層も違う為、スイートの階に上がる為にはエレベーターに差し込むカードキーが必要である。
つまり、スイートで起きた今回の事件…
犯人もスイートである可能性が高い。

もしくは乗員という可能性もある。

しかし、これで、容疑者はグッと減った。

恐らく40名程度が容疑者として挙げられると思う。
まぁ、まだまだ多いが…

私たちは盗難被害者の奥様に話を聞いた。

「黒川法律事務所の弁護士、姫川と宇賀神です。」

私はバッチを見せながら挨拶する。

「まぁ!
先生!
私のブラックオパールのネックレスは見つかるのでしょうか!?
世界でも数点しか無い大きさのネックレスですのよ!」

奥様・川上美智子(かわかみみちこ)さんは言う。

「そんなに貴重なお品物だったんですね。
全力を尽くします!
レストランでお食事している時に盗まれたとの事ですが、怪しい人など見かけませんでしたか?」

私は尋ねる。

「いいえ〜?
スイートのお客様達は、ほら、裕福な方が多いでございましょ?
だから、私たちも安心していて…」

川上さんは答える。

「誰かに、高価なブラックオパールのネックレスを持って来ている事を言いましたか?」

宇賀神先生が尋ねる。

「あ、えぇ、そう言えば…
前日にレストランで同席した数人には言いましたけれど…」

「なるほど…
綾乃、そのメンバーにまずは聞き取りに向かいましょう。」

「はい!」

レストランで同席した客は4人だと言う。

私たちは1人ずつに話を聞いた。

「知らないわよ!
私はね、女医なのよ!
そんなの盗るほど困ってないわ。」

1人目。

「さぁ?
知りませんけど…
私?
会社社長ですよ。」

2人目。

「え、僕ですか?
その時間はレストランで食べていましたよ。
赤ワインを溢してしまったので、ウエイターさんが覚えていると思いますよ?」

3人目。

「私はそんな…
人様のものを盗るなんて…
仕事?
インスタグラマーですよ。」

4人目。

うーん、はっきりとした情報は無い。

「困りましたね。
これじゃ、八方塞がりだわ…」

私は言う。

「うーん、そうですね。
もう一度川上さんに話を聞きにいきましょう。
何か見落としがあるかもしれません。」

宇賀神先生は言った。