【完結】Blackberry

私はぐっすりと熟睡していたらしい。
目覚めると、朝だった。
いつの間にかベッドに移されていたものの、巨大なドーム型の窓からは燦々と太陽の光が部屋いっぱいに差し込んでおり、それはベッドの上の私にも例外では無かった。

ふと、ベッドの側に触れると、そこはまだ温かった。
一ノ瀬さん!
私はベッドから飛び起きた。

「起きたかよ?」

彼はタバコを燻らせて、そう尋ねた。

「あ…おは、おはようございます…」

「あぁ…
ったく、人のキスで寝落ちしやがって…」

彼は小さくそう言った。

「え、なに…?」

「…何でもねーよ。
それよりも、出かける。
洗面所に行って支度しろ。
着替えも洗面所に掛かってる。」

それは…
シャワーも浴びていい、という事だろうか?

分からない。
けど、身体が不快だったので、勝手にシャワーも浴びた。
下着のサイズ…
なぜ、分かるのか…?
着替えはシンプルな黒とグレーのセーターにデニム。
どちらも、まぁ、サイズは合っている。

私は髪を乾かすと、ホールに戻った。
化粧は元からあまりしない。
色が白いのと、目の色素がはっきりしている為に、化粧したような顔立ちでもある。

「用意できたか?
梨紗。
降りるぞ。」

そう言って彼は、エレベーターを開いた。

私は慌ててそれに乗り込む。

「アンタの髪、ふわふわしてるな…」

「えーと…
癖っ毛で…」

「ふぅん…?」

そう言って一ノ瀬さんは私の髪の毛を撫でた。
その触り方は愛猫を撫でるように優しく、時折私の頬に触れた。

エレベーターはあっという間に一階に着いた。

「腹減ってるだろ?」

「そう言えば…」

昨日の昼間から何も食べていない。
気がつけばかなり空腹だった。

「10分で着くから、我慢しろ。」


どこにだろ?

私はそんな事を考えつつ、彼の後に付いていく。

一ノ瀬さんは黒のレクサスLSの運転席に乗り、私を助手席に乗せた。

「自分で運転するんです…ね…?」

「あぁ、運転は嫌いじゃ無い。
護衛車は付くがな。」

そして、私たちの乗るレクサスは黒い車の列を引き連れて動き出した。

♦︎♦︎♦︎

しばらく走らせて到着したのは…

え、これ、喫茶店…?

木の感じが温かみのある、木造りで統一された喫茶店だった。
上にも部屋があるらしく、階段がつながっていた。

「ORION…
俺の経営する喫茶店だ。
まぁ、裏の顔はあるけどな。

モーニングでいいだろ?
フレンチトーストか、エッグベネディクトか、サンドイッチか?」

「え、エッグベネディクトで!」

「OK。」

そう言って一ノ瀬さんは厨房に立った。

え!?
一ノ瀬さんが作るの!?