抗争が終わって、
しばらく経ったある朝。
私は、
燐牙の腕の中で目を覚ました。
……正確には、
腕枕、というやつ。
昔の私なら、
「極道の妻がこんな無防備でいいの?」
なんて思ったかもしれない。
でも今は、
この場所が一番安心する。
「……起きてる?」
低い声が、
頭の上から落ちてくる。
「うん、今起きた」
そう答えると、
燐牙の腕に少し力が入った。
――これ。
この、
言葉にしないやり取り。
戦いが終わってから、
燐牙は少し変わった。
いや、
正確には「戻った」んだと思う。
会長としての顔。
修羅場を越えた男の顔。
それでも、
私の前ではちゃんと“夫”でいてくれる。
「今日、予定は?」
「午前は会議。
午後は空いてる」
「じゃあさ」
私は、
彼の胸元に額を押し付けた。
「午後、
一緒にスーパー行こ」
一瞬、
間が空く。
「……スーパー?」
「うん。
昨日、卵切れた」
燐牙は、
少し困った顔をしたあと――
ふっと笑った。
「……本当に、
普通の生活に引きずり込むな」
「嫌?」
「嫌じゃねぇ」
即答だった。
それが、
嬉しくて。
私は、
彼のシャツを軽く掴む。
抗争のあと、
屋敷は少し静かになった。
銃の代わりに、
書類が増え。
怒号の代わりに、
電話と会議。
鬼千会は、
少しずつ変わっている。
……正直、
順調とは言えない。
でも。
「梨紗」
燐牙が、
私の髪に指を通す。
「お前、
無理してねぇか」
「してないよ」
私は、
顔を上げて笑う。
「一緒だから」
その言葉に、
燐牙は何も言わなかった。
ただ、
額に軽くキスをする。
それだけで、
全部伝わる。
午後。
二人でスーパーに行った。
周囲から見たら、
たぶん普通の夫婦。
……たぶん。
「ねぇ、
そのネギ、
一本でよくない?」
「いや、
二本いる」
「絶対余るって」
「余ったら、
俺が食う」
「燐牙、
ネギそんな好きだったっけ?」
「……最近はな」
意味深に言うから、
私は笑ってしまった。
夜。
ソファで並んで座り、
テレビを見ながら、
私は彼の肩に寄りかかる。
「ねぇ」
「なんだ」
「抗争、
終わってよかったね」
燐牙は、
しばらく黙っていた。
「……ああ」
「でもさ」
私は、
小さく続ける。
「終わったあとも、
あなたが生きてて、
一緒にいてくれるのが、
一番よかった」
燐牙の手が、
私の手を強く握る。
「……当たり前だ」
そう言いながら、
声は少しだけ低い。
その夜。
灯りを落とした寝室で、
私は彼の胸に頬を預ける。
心音が、
規則正しい。
――生きてる。
それだけで、
十分だった。
「梨紗」
「なに?」
「……俺を、
白くしすぎんなよ」
「え?」
「黒いままの部分も、
俺だからな」
私は、
少し考えてから答えた。
「うん」
「でもね」
彼の胸に、
指で小さな円を描く。
「白い朝に、
あなたがいるなら」
「それで、
いいと思う」
燐牙は、
何も言わなかった。
ただ、
私を強く抱き寄せた。
血と闇の世界で出会って、
それでも選んだ未来。
完璧じゃない。
でも――
愛してる。
私は、
この人と生きていく。
黒い人と、
白い日々を…
ハッピーエンド♥️
しばらく経ったある朝。
私は、
燐牙の腕の中で目を覚ました。
……正確には、
腕枕、というやつ。
昔の私なら、
「極道の妻がこんな無防備でいいの?」
なんて思ったかもしれない。
でも今は、
この場所が一番安心する。
「……起きてる?」
低い声が、
頭の上から落ちてくる。
「うん、今起きた」
そう答えると、
燐牙の腕に少し力が入った。
――これ。
この、
言葉にしないやり取り。
戦いが終わってから、
燐牙は少し変わった。
いや、
正確には「戻った」んだと思う。
会長としての顔。
修羅場を越えた男の顔。
それでも、
私の前ではちゃんと“夫”でいてくれる。
「今日、予定は?」
「午前は会議。
午後は空いてる」
「じゃあさ」
私は、
彼の胸元に額を押し付けた。
「午後、
一緒にスーパー行こ」
一瞬、
間が空く。
「……スーパー?」
「うん。
昨日、卵切れた」
燐牙は、
少し困った顔をしたあと――
ふっと笑った。
「……本当に、
普通の生活に引きずり込むな」
「嫌?」
「嫌じゃねぇ」
即答だった。
それが、
嬉しくて。
私は、
彼のシャツを軽く掴む。
抗争のあと、
屋敷は少し静かになった。
銃の代わりに、
書類が増え。
怒号の代わりに、
電話と会議。
鬼千会は、
少しずつ変わっている。
……正直、
順調とは言えない。
でも。
「梨紗」
燐牙が、
私の髪に指を通す。
「お前、
無理してねぇか」
「してないよ」
私は、
顔を上げて笑う。
「一緒だから」
その言葉に、
燐牙は何も言わなかった。
ただ、
額に軽くキスをする。
それだけで、
全部伝わる。
午後。
二人でスーパーに行った。
周囲から見たら、
たぶん普通の夫婦。
……たぶん。
「ねぇ、
そのネギ、
一本でよくない?」
「いや、
二本いる」
「絶対余るって」
「余ったら、
俺が食う」
「燐牙、
ネギそんな好きだったっけ?」
「……最近はな」
意味深に言うから、
私は笑ってしまった。
夜。
ソファで並んで座り、
テレビを見ながら、
私は彼の肩に寄りかかる。
「ねぇ」
「なんだ」
「抗争、
終わってよかったね」
燐牙は、
しばらく黙っていた。
「……ああ」
「でもさ」
私は、
小さく続ける。
「終わったあとも、
あなたが生きてて、
一緒にいてくれるのが、
一番よかった」
燐牙の手が、
私の手を強く握る。
「……当たり前だ」
そう言いながら、
声は少しだけ低い。
その夜。
灯りを落とした寝室で、
私は彼の胸に頬を預ける。
心音が、
規則正しい。
――生きてる。
それだけで、
十分だった。
「梨紗」
「なに?」
「……俺を、
白くしすぎんなよ」
「え?」
「黒いままの部分も、
俺だからな」
私は、
少し考えてから答えた。
「うん」
「でもね」
彼の胸に、
指で小さな円を描く。
「白い朝に、
あなたがいるなら」
「それで、
いいと思う」
燐牙は、
何も言わなかった。
ただ、
私を強く抱き寄せた。
血と闇の世界で出会って、
それでも選んだ未来。
完璧じゃない。
でも――
愛してる。
私は、
この人と生きていく。
黒い人と、
白い日々を…
ハッピーエンド♥️



