【完結】Blackberry

「お取り込み中すいません、燐牙さん。」

彼はチラリと私を見ると、また男に視線を戻した。
男は燐牙(りんが)という名前らしい。
上の名前は知らないが…

「どうした?」

少し親しみのある声で、燐牙という男はそう尋ねた。

「えぇ…」

「何だ?
悪い情報か?」

「はい…
木本(きもと)含める6名が逆盃を切り出してきました…」

「逆盃…
6名も、か。」

「はい、後は、もう燐牙さんがお察しの通りです。」

「分裂抗争になるかもしれねぇ、って事か…」

「はい。
どうされますか?」

「分裂抗争に負けた方は自滅あるのみだ。
徹底的に叩き潰す。
ヒットマンに道具を渡して送り込め。
6人の首をあげたら、どんな報酬でも渡すと言え。」

「…わかりました。」

「何だ?
まだ、何か言いたそうだな?」

「…燐牙さんも気をつけてください。
向こうもこっちの首を狙っているんですから。」

「わーってるよ。」

そして、兵藤さんは下がっていった。

「…あなた、誰なの…?」

私はついそう聞いてしまった。

「鬼千会、若頭、一ノ瀬燐牙だ…」

鬼千会!?
関東を牛耳るトップクラスのヤクザだ!
その若頭って事はNo.2!?

やばい…
本格的にやばい…

私が家に帰れる可能性は限りなくゼロに近くなった。

「…お前、俺の…
あー…
いや、何でもない…」

「?」

「…セーラー服似合うじゃん。」

「え、あ、少し無理がありませんか…?」

「そこが良いんだよ。
そんな女を脱がせて、シャブでアヘらせて楽しむのが俺たちの娯楽なわけ。」

悪趣味ッッ!

私は乾いた声で笑った。

「まぁ、分裂抗争が終わるまでは引きこもる事になるだろうからな…」

「あの、分裂抗争って…?」

「あぁ、組が分裂して起こる抗争だよ。
今回、《《逆盃》》、つまり親と子の縁を切るっつー事態が6人同時に起きた。
これは普通じゃ無い。
つまり、その6人は俺たちから離反して、新しい組を立ち上げようとしてる。
それは明白だ。
しかし、ヤクザってのは、見栄とメンツの世界でね。
そんな事を許すとなったら、俺たち鬼千会のメンツに関わってくる。
そんなぬるいヤクザに仕事を依頼する企業も金持ちも居なくなる。
分かるか?」

「何となく…」

私は答えた。

一ノ瀬さんがじっと私の唇を見つめる。

「キスさせろ。」

そして、今度は私を広い広いソファに押し倒して、ねっとりとした甘いキスをされた。

そういえば…
ここのところ、母の手術の心配で、寝て…ない…な…

私はキスされながら、深い眠りについていった。

「俺のキスで寝るとか、贅沢すぎんだろ…!」

そんな声が聞こえたか、聞こえてないか、それは分からない。