【完結】Blackberry

side一ノ瀬燐牙

デートはことごとく失敗に終わり、初エッチまで遠そうだったが、俺はそれでもいい気がしていた…
梨紗がそれだけ大切だったから。

そんな中、その日は梨紗とババ抜きして遊んでいた。
彼女はジョーカーのカードに手を置くと、眉をぴくりと動かすので、見破るのは簡単だった。

梨紗はもうー!とほおを膨らませて、悔しがった。
そんな彼女とのひとときが、血にまみれた生活を送る俺にとっての唯一の癒しだった。

俺はケラケラ笑いながら彼女の膨らんだ頬を軽くつねった。

その時、俺の携帯が鳴った。

センシアの社長の水口さんからだった。
彼が俺の携帯にかけてくるのは非常に珍しい事だったので、多少緊張した声で電話に出た。

『あぁ、一ノ瀬さん…』

「どうしました?」

『いえ、それが…
急に警察のガサ入れがあったのです。
幸いにも怪しいものは処分していたので助かりましたが。
鬼千会との繋がりを怪しまれているようでした。
なぜ、そんな事が漏れたのか…?』

「…そうですか。
至急部下に探らせますので、ご安心ください。
ご迷惑をおかけしてすいませんでした。」

俺は言った。

そして、電話は切れた。

「ちょっと出かける。
すまない。」

俺は梨紗にそう言った。

「…大丈夫?
燐牙さん…?」

「俺は大丈夫だ。」

そして、彼女を引き寄せて優しく抱きしめた。

海勝会…
奴らの仕業か…?

しかし、俺たちの関連企業なんて、どこにも出回って無いはずだが…
一体どこからその情報を…?

すぐに兵藤の元に向かった。

「そうですか…」

「あぁ、誰か裏切り者が居るんじゃないか?
じゃ無いと、海勝会が関連企業を洗い出す事は不可能だろ。」

俺は言った。

「裏切り者、ですか。
しかし、我々を裏切ってもメリットはあるのででしょうか…?
それに…
そんな者には心当たりがありません…」

兵藤はそう言った。

「センシアなんて、普通のIT企業だぞ?
誰が、俺らと繋がってると思う?
内部告発しかないだろう?」

「まぁ…
それもそうですが…」

兵藤は納得してなさそうな表情でそう言った。

「とにかく探ってくれ。」

「分かりました。
それと、一応水口社長には護衛を付けておきます。」

兵藤はそう言って出て行った。

俺はまた、梨紗とババ抜きがしたかったので、屋敷に戻った。
彼女は暖かいブランケットの上で子猫のように丸くなって寝ていた。

俺は彼女のくるっとカールした髪をそっと撫でると、頬にキスした。

始まろうとしている。
新たな抗争が。

それに、彼女を巻き込んではいけない。

そう決意した。