【完結】Blackberry

side新田亜美

私は海堂の庇護を得た。
しかし、それは完全な物では無かった。

「今日、黒田という俺の腹心が来る。
なに、お前にいくつか確かめたい事があるだけさ。」

情事後のズボンを上げながら、海堂は言った。

黒田という人の質問が、私へのテストである事は明らかだった。

しかし、私は笑顔で「分かったわ。」と言った。

♦︎♦︎♦︎

黒田がやってきた。
黒田という名前に相応しく、焼けた肌にイカつい体格の男だった。

「亜美さん、いくつか質問させていただきます。
知らない事は無理して答えなくても結構です。」

黒田はそう言って対面のソファに座った。

バインダーにメモを挟んでいるらしい。

「では、まず…
一ノ瀬燐牙の一日の行動パターンを出来るだけ詳しく教えてください。」

「えぇ…
朝早く…
陽が出る少し前だと聞いているけど。
起床時間です。
燐牙はコーヒー好きで朝に必ずコーヒーを淹れると言ってたわ…

レクサスLSに乗って出社。
燐牙のフロント企業はORIONという喫茶店。
そこで、新聞を読んだり、資金の動きや仕入れルート、地下にある違法賭博場の売上を確認する。

昼食は兵藤さんと一緒に近くの寿司屋の個室がいつものコース。
そこで、また仕事の話。
今の時期だと、年末総会について、じゃないかしら?

それから、オープンした賭博場の視察。
黒服がカードを並べる所や、イカサマカメラの起動を確認する。

それから…」

私は脳みそフル稼働して、知っている事を全て話した。

私の情報量に驚いてか、途中から黒田のペンは止まっていた。

「なるほど…
そこまで、あなたが一ノ瀬の懐に入っていて…
裏切る理由は…?」

黒田が尋ねた。

「愛しているからよ。」

私はそれだけ答えた。
それだけで黒田は納得したようだった。

それ以上の理由なんて無い。
愛してるから、地獄に落とさなきゃ許せない。

「亜美さんの情報は本物のようです。」

黒田が海堂に報告した。

「そうか、亜美。
ならば、最終テストと行こうか。
鬼千会の資金倉庫の場所を割り出せ。

期限は1週間だ。
これで、晴れてお前は海勝会の構成員だ。」

海堂が胡散くさい笑顔でそう言った。

「分かった…」

資金倉庫…
そんな場所など、知らなかった…
でも、やるしかなかった…

そさて、テストの1週間はスタートした。

「そう言えば、一ノ瀬は一般人の女を囲っているらしいですね。」

「へぇ…」

海堂は興味無さそうに言ったが、私の憎しみに火をつけるには充分だった。

あの女が居るから…
だから、私を切ったんだ…

燐牙さんの心をあの女が独り占めしている。

許さない…