あ……これ。 「スタート!」 『いつもの』だ……。 カチンッ!という心地いい音で、それは始まる。 体が石にでもなったように強張って、僕は指一本すら動かせない。 声なんて、もってのほかだ。 でも、 でも何か……何か言わないと! そう思うのに、声の出し方を忘れてしまったように、喉の奥に冷たい空気だけがまとわりつく。 あんなに練習したのに。 あの時はスラスラ言えたのに。 なのに、 なのに、なんで? なんで……。 なんで!!! 「カット!」