ライバルがユーレイなんて聞いてない!



 俺はパンツのポケットから消しゴムを取り出して、虹架ちゃんに差し出した。


「これを、ある人の代わりにわたしたかったんだ」

「え、この消しゴム……」


 虹架ちゃんは息をのみ、大きな目をもっと大きく見開いた。


「滝島雷斗ってやつのこと、覚えてる?」


 虹架ちゃんはこくん、とうなずく。


「小日向くん、雷斗くんのこと知ってるの?」

「えっと、うん」

「そうだったの……」


 虹架ちゃんは悲しそうに目をふせる。


「わたし、雷斗くんと同じ塾に通ってたの。でも雷斗くんが事故で亡くなってから塾に行くのがつらくなっちゃって、やめたんだ」

「そうだったんだ」

「その消しゴム、雷斗くんが亡くなる前に貸したものなんだけど、どうして小日向くんが持ってるの?」

「実は……」


 雷斗は、自分がユーレイとして今この場にいることは、言わないでほしいと言っていた。

 今も俺の隣で静かに見守っている。

 でもさ、本当にそれでいいのか?


「ここに、雷斗がいるんだ」

「えっ……」

『おい晴真! 何言い出すんだよっ。オレは話す気ないって、』

「お前が直接返さなきゃ意味ないだろ」

『!』

「ちゃんと自分の口から言えよ」