ライバルがユーレイなんて聞いてない!



 ユッキーがカードを取り出した拍子に、引き出しから何かが転がり落ちた。


「ったく、何してんだよユッキー」


 すぐ関係ないことし始めるんだから。

 俺は床に転がったものを拾い上げた。
 それは消しゴムだった。


「ずいぶんかわいい消しゴム使ってたんだな」


 見た目はふつうの白い消しゴムだけど、ケースがピンクの花柄で女の子らしい。


「……あれっ!?」


 消しゴムのケースをひっくり返してみて、おどろいた。
 そこには黒いマジックペンで「ましろ にじか」という名前が書かれていた!


「なんで雷斗がにじ、真白さんの消しゴム持ってんだよ!」

「今虹架ちゃんって言おうとして言い直したでしょ」

「うるせえウッキー!」


 今はそれどころじゃないだろ!

 雷斗は消しゴムをまじまじとのぞき込んだ。
 しばらくじーっとながめていたが、急に大声で笑い出す。


『あはははっ!』

「な、なんだよ」

『あははっ、そうだったんだ』


 なんだ、こいつ。急におかしくなっちまったのか?


『……思い出した』

「えっ?」

『全部思い出したよ。思い出してみると、案外拍子抜けするものだね』


 そう笑った雷斗の表情は、今まで見た中で一番切なそうな表情をしていた。