とにもかくにも、レースがスタートした。
俺たちは相談していた通り、右足からリズム良く走り出す。
「イッチニ、イッチニ!」
「イッチニ、イッチニ!」
よし、いいペースだ!
「凪砂ちゃん、小日向くん、がんばれ〜!」
ハッ、虹架ちゃんの声だ!
虹架ちゃんが応援してくれてる!
俺の気合いのボルテージが更に上がった。
「イッチニ、イッチニ!」
「ちょ、小日向、ペース速い……!」
虹架ちゃんのためにも、絶対一位取りたい……!
そんな気持ちが先走ってしまっていた。
「きゃっ!」
とにかく前に進むことに集中してしまい、矢野さんと呼吸を合わせることを忘れてしまった。
その結果、足がもつれた矢野さんが転んでしまう。
引っ張られて俺もバランスを崩してしまった。
「矢野さん、大丈夫?」
「いったぁ……」
矢野さんのひざはすりむいてしまい、痛々しく血が流れていた。
俺のせいだ、俺のせいで矢野さんにケガさせてしまった。
「ごめん、矢野さん!」
「ううん、大丈夫」
そういって立ち上がるけど、ひざが痛そうだ。
こうなったら……!
「ちょっと失礼するな」
「なっ……、何するの!?」
俺は結んでいた布を取り、矢野さんを横向きに抱きかかえる。
そのまま走ってゴールした。



