名前を思い出せたってことは、他にも思い出したことあるんじゃないか?
そう思って聞いてみたけど。
『……他はわからん』
「わからんのかい。苗字は?」
『うーーん……?』
どうやら思い出せたのは名前だけのようだ。
『いやでも! 名前思い出せただけでも進歩なんだよ! 一年くらい何にも思い出せなかったんだから』
「一年も前からさまよってたのか」
「うん、一年前からあそこにいたよね」
サラッと言ったけど、八雲なんか今気になること言わなかった?
「八雲、もしかしてこいつがあそこにいること知ってたのか?」
「うん」
『えーー!? 言えよーー!』
雷斗はブーブーと頬をふくらませる。
ハリセンボンか、お前は。
「俺生まれた時から霊が視えるから、それが当たり前になってて。とりあえず霊がいてもスルーするんだ」
『スルーしないで!?』
「お前メンタル鋼かよ……」
八雲はいつもマイペースだし何事にも動じないやつだけど、その理由がわかった気がした。
「じゃあウワサのことも知ってたのか」
「知ってたし、雷斗がいることも知ってたけど、ユッキーが楽しそうにしてたからだまってた」
「なんだよ〜。まあ結果的におもしれーからいいけど!」
本当にユッキーは楽天的すぎるんだよな。
「ねぇ、ふと思ったんだけど八雲は雷斗を成仏させられないの?」



