その子は朝、誰よりも早く一番に登校する。
校庭の花壇の水やりと教室の花瓶の水を替えるためだ。
誰かに頼まれたわけじゃない。
園芸部だけど教室の花瓶までやる必要はないのに、ただ“やりたいから”という理由だけで自主的にやってくれている。
そんなさりげない心配りができる彼女に恋をして、早三ヶ月。
「ま、ま、真白さんっ! おはようっ」
「おはよう、小日向くん」
上ずった声の挨拶に対し、彼女はとびきりのかわいい笑顔で挨拶を返してくれる。
真白虹架ちゃん、同じクラスで隣の席。
俺の好きなひと。
「今日も早いね。サッカー部の朝練だったの?」
「う、うんっ。そうなんだ」
「朝からお疲れさま」
「っ!」
あ〜〜っ、かわいい!
かわいすぎる虹架ちゃん……!
そしてなんて優しいんだ!
本当は朝練なんてない。
朝練がなくても毎朝早く登校するのは、誰よりも早く登校する虹架ちゃんと話したいからだ。
今なら、今だけなら教室には俺と虹架ちゃんの二人きり。
今日こそは……!
「あのっ、」
「おはよー!!」



