そして、私はリクルートスーツに身を包み、身なりを整えて電車に乗った。
合同企業会は港区のドームで行われた。
色々な賑やかなブースがあり、それぞれの企業が凝った飾り付けをしている。
うーん、あそこの会社は落ちたしぃ…
あの会社は聞いた事無いし…
ん?
あれは?
あ、ベンチャーかぁ。
やっぱり就職するなら大手よね…
私はそのベンチャー企業の前を通り過ぎようとした。
しかし…
え…
この声は…?
そこには、《《いおにぃ》》が居た…!
え、え、えぇぇぇぇぇ!?
いおにぃ!?
何でマイク持って喋ってんの!?
てか、この企業何!?
私がそのブースの前で彼の話を聞いていると、どうも、「社長の鷹宮伊織です。」と言っているようだった。
え、えぇぇぇぇぇ!?
いおにぃが、社長!?
私はすぐにその企業に応募し、面接日をメモした。
♦︎♦︎♦︎
ベンチャー企業・RE:CODEの面接日。
「では、自己PRをお願いします」
落ち着いた声で言ったのは、黒スーツの男性。
――そう、5年前に私を「バカは好きじゃない」と切り捨てた張本人。
鷹宮伊織。
ひなこは背筋を伸ばした。
(ここで失敗したら、二度と会えない……!)
「は、はいっ!」
勢いよく立ち上がり、椅子がガタンと鳴る。
「結城ひなこです!
慶應義塾大学経済学部卒業予定で!
長所は行動力と根性と執念です!」
執念、言っちゃった。
「…執念?」
伊織の眉が、ほんのわずかに動く。
「はい!
私は五年前、ある男性に振られました!
その人が東大に行くと聞き、猛勉強しましたが東大には落ちました!
でも諦めきれず慶應に入りました!」
(何を言っているんだ私は)
会議室が、しん…と静まり返る。
「それで?」
伊織が淡々と続きを促す。
「その男性が、今日ここで社長をしていると知り、
私は――」
ひなこは深呼吸した。
「この会社に、人生を賭けることを決めました!!」
ドン!!!
机に両手を叩きつける。
「……」
面接官たちがフリーズ。
伊織だけが、こめかみを押さえた。
「結城さん」
「は、はい!」
「普通は“御社の理念に共感しました”とか言うんですが」
「す、すみません!
でも嘘はつきたくなくて!」
正直すぎる。
「つまり」
伊織はひなこをまっすぐ見て言った。
「うちを受けた理由は、俺?」
「はい!!」
即答。
もう取り繕う気すらない。
面接官A「…そんな応募理由、初めて聞きました」
面接官B「というか聞いたことありません」
伊織は小さく息を吐いた。
「結城さん」
(終わった…)
「正直すぎるし、めちゃくちゃだし、社会人向きとは言い難い」
ひなこは涙目になる。
「ですが」
伊織の口元が、ほんの少しだけ上がった。
「面白い」
面接官たちがざわつく。
「この会社、変な人多いんで。
その中でもトップクラスに変です」
「え、褒めてます?」
「一応」
こうしてひなこは、
『恋愛感情ダダ漏れ面接』
という前代未聞の理由で、一次選考を突破したのだった。
合同企業会は港区のドームで行われた。
色々な賑やかなブースがあり、それぞれの企業が凝った飾り付けをしている。
うーん、あそこの会社は落ちたしぃ…
あの会社は聞いた事無いし…
ん?
あれは?
あ、ベンチャーかぁ。
やっぱり就職するなら大手よね…
私はそのベンチャー企業の前を通り過ぎようとした。
しかし…
え…
この声は…?
そこには、《《いおにぃ》》が居た…!
え、え、えぇぇぇぇぇ!?
いおにぃ!?
何でマイク持って喋ってんの!?
てか、この企業何!?
私がそのブースの前で彼の話を聞いていると、どうも、「社長の鷹宮伊織です。」と言っているようだった。
え、えぇぇぇぇぇ!?
いおにぃが、社長!?
私はすぐにその企業に応募し、面接日をメモした。
♦︎♦︎♦︎
ベンチャー企業・RE:CODEの面接日。
「では、自己PRをお願いします」
落ち着いた声で言ったのは、黒スーツの男性。
――そう、5年前に私を「バカは好きじゃない」と切り捨てた張本人。
鷹宮伊織。
ひなこは背筋を伸ばした。
(ここで失敗したら、二度と会えない……!)
「は、はいっ!」
勢いよく立ち上がり、椅子がガタンと鳴る。
「結城ひなこです!
慶應義塾大学経済学部卒業予定で!
長所は行動力と根性と執念です!」
執念、言っちゃった。
「…執念?」
伊織の眉が、ほんのわずかに動く。
「はい!
私は五年前、ある男性に振られました!
その人が東大に行くと聞き、猛勉強しましたが東大には落ちました!
でも諦めきれず慶應に入りました!」
(何を言っているんだ私は)
会議室が、しん…と静まり返る。
「それで?」
伊織が淡々と続きを促す。
「その男性が、今日ここで社長をしていると知り、
私は――」
ひなこは深呼吸した。
「この会社に、人生を賭けることを決めました!!」
ドン!!!
机に両手を叩きつける。
「……」
面接官たちがフリーズ。
伊織だけが、こめかみを押さえた。
「結城さん」
「は、はい!」
「普通は“御社の理念に共感しました”とか言うんですが」
「す、すみません!
でも嘘はつきたくなくて!」
正直すぎる。
「つまり」
伊織はひなこをまっすぐ見て言った。
「うちを受けた理由は、俺?」
「はい!!」
即答。
もう取り繕う気すらない。
面接官A「…そんな応募理由、初めて聞きました」
面接官B「というか聞いたことありません」
伊織は小さく息を吐いた。
「結城さん」
(終わった…)
「正直すぎるし、めちゃくちゃだし、社会人向きとは言い難い」
ひなこは涙目になる。
「ですが」
伊織の口元が、ほんの少しだけ上がった。
「面白い」
面接官たちがざわつく。
「この会社、変な人多いんで。
その中でもトップクラスに変です」
「え、褒めてます?」
「一応」
こうしてひなこは、
『恋愛感情ダダ漏れ面接』
という前代未聞の理由で、一次選考を突破したのだった。



