「おまたせー」
京がそう言って、ローテーブルの上にできあがった料理を並べる。
野菜がごろごろ入ったコンソメスープと、ベーコン、ブロッコリー、玉ねぎを合わせた簡素なパスタ。
立ち上る湯気と一緒に、部屋中にいい匂いが広がった。
昼から何も口にしていなかったせいか、お腹が鳴る。
それを聞かれたかどうかは分からないが、京は何も言わず、隣に腰を下ろした。
「いただきます」
手を合わせて、まずスープに手を伸ばす。
猫舌なので、先に具材だけをすくって口に運ぶ。
スープはまだ熱くて、少しずつしか飲めない。
諦めて、パスタに移る。
フォークでくるくると巻き付けて、一口。
塩味がちょうどいい。
無言のまま、手を休めず食べ進める。
ふと視線を感じて顔を上げると、京がこちらを見ていた。
急かすでもなく、ゆるく微笑んでいる。
「おいしい?」
「うん」
短く答えると、京は小さく目を細めた。
「良かった」
それだけ言って、視線を戻す。
しばらくして、ふと思い出したように京が口を開く。
「そういえば、明日仕事だよね」
「……忘れてた」
少し間があって、京は一度言葉を探すように視線を泳がせてから、続ける。
「仕事まで、ここにいていい?」
「好きにすれば?」
そう言うと、京の表情が分かりやすく緩んだ。
「うん。ありがとう」
