闇底の純愛




やがて、交差点が見えてくる。
駅に向かう京とは、あそこで別れる。

別れ際、その直前で京が口を開いた。



「……ねえ、酔ちゃん?」


様子を伺うような、少し慎重な声。


「なに?」

短く返すと、京は一瞬だけ視線を彷徨わせてから、また私を見る。



「…また泊まりに来てもいい?」


「え?」


てっきり、昨夜限りの話だと思っていた。

あの汚部屋にまた泊まりたいとは、京もなかなか物好きだ。

私が驚いて黙っていると、京は迷っていると思ったのか、追い討ちをかけるように言ってきた。



「また洗い物もするし、俺、朝ごはんも作ってあげられるよ?」


「……」

その言葉に揺れ動く。


……朝起きて、朝ごはんが用意されてるのは、とても良いかもしれない。

……洗い物を片付けてくれるのは、かなり有難い。


…………あわよくば、部屋の片付けも手伝ってくれないかな。


京を家に泊めること自体は、一度やったからか、あまり抵抗は無かった。

迷うも何もなく、私にいい事しかない。

強いて言うなら、ベッドが少し狭くなるくらいだろうか。

でも、私は寝相が良いし、京も悪くなかった。
だから、これも大した問題では無い。



目を逸らして、ボソッと呟く。


「……部屋の片付けも手伝って」

そう言うと、京は一瞬きょとんとしたあと、可笑しそうに笑った。



「もちろん」