その声に、周りの空気が一気に変わる。
三上の表情が凍りついたのを見て、私はゆっくりと後ろを振り返った。
そこに立っていたのは、街灯の光を背にした、一人の少年だった。
黒いパーカーのフードをかぶり、少し無造作な黒髪が目元に影を落としている。
でも隠しきれていない。
すっと通った鼻筋、切れ長の目、
そして、人を黙らせる雰囲気。
派手なことは何もしていないのに、そこに〝いるだけ〟で視線を集めてしまう。
……なに、この人。
知らないはずなのに、胸の奥がぎゅっと掴まれた。
懐かしい、気がする。
「手ぇ離せば?嫌がってるってわかんねぇ?」
静かな声。
怒鳴っていないのに、逆らえる気がしない。
「イ、イブ!マジになんなよ!」と、苦笑いを見せる三上。
その言葉にミオが驚いた顔をして「イブ……?」と呟いた。
イブって……この人が?
目の前に立つ姿は、想像よりずっと綺麗で強そうだった。



