ミオのことは深くは知らない。
ゼロ番で知り合い、同い年で意気投合したから仲良くなったけど、本名も知らなければどんな理由でここにいるのかも知らない。
でも噂話が大好きな女の子だ。
「じゃあ毎日来てたら会えるんじゃない?」
「だよね!でね、そのイブって人……強くて怖そうなイメージなのにめっちゃ優しいらしくてここのヒーローみたいな存在なんだって!」
優しいヒーローか。
ゼロ番に来る人間に、そんな言葉が似合うとは思えなかった。
……イブ。
会ったこともないのに、
なぜか胸の奥が、静かにざわついた。
「あれ?……君、何ちゃんだっけ?」
そう声を掛けてきたのは、最近やたらとゼロ番に顔を出していつも騒いでいる男だった。
髪をやたらといじりながら、周りの反応を気にするように視線を泳がせている。
「この人っ!ここでリーダーぶってるムカつくヤツだよっ」
ミオが耳元で囁く。
私が黙っていると、その男はさらに近づいてきた。



