イブが立ち上がり、
「あっちいく?」
と、みんなから少し離れた場所を指さした。
その一言だけで、胸の奥がぎゅっと音を立てた気がした。
場所を移動して縁石に座ったイブは、その隣を手でポンポンと叩く。
「隣くれば?」
「……うん」
ぎゅっとした胸に手を当てたまま、私はイブの隣に座った。
近いかな……。
でもイブは何でもない顔をして、缶コーヒーのプルタブを開けた。
ドキドキしてるのは私だけだよね。
「ここ、よく来んの?」
「えっあ、うん……」
どう答えたらいいかわからなくて、短く頷く。
「前はいなかったからさ」
「イブは前からここに?」
聞いた瞬間、
ほんの一瞬だけ、イブの動きが止まった。
でもすぐに、なんでもないように笑う。
「ん。ちょっと離れてたけど」
〝ちょっと〟なんて言い方に、妙な引っかかりを覚えた。
その間、どこで何していたんだろう。
知りたいけど聞いたらダメだよね……。



