「最近さ、イブが戻ってきてくれて助かるよね」
「マジで。あの人いると変な揉めごと起きないし」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
イブ。
ゼロ番のヒーロー。
周りから聞く彼の事は良い事ばかり。
派手なことはしないのに、気付いたら中心にいて、誰かが声を荒げる前に、視線ひとつで空気を変えてしまうような、そんな人。
近づきたい、話してみたいって思うのは自然なことだった。
勇気を出して缶コーヒーを二本買い、イブの近くに行った。
断られたらどうしよう……とも思ったけど。
数人の子たちの中心にいたイブは、私が近づくとすぐに顔を上げた。
「……これ」
イブは私が差し出した缶コーヒーを見つめた。
「俺に?」
「この前助けてもらったお礼……甘いの苦手だったらごめん」
少し間があって、「ありがと」と受け取ってくれた。
それだけのことに嬉しくて、思わず口元が緩む。



