ゼロ番交差点。
行き場のないやつが、理由を聞かれずにいられる場所。
強いとか弱いとか、過去がどうとかそんなの関係ない。
いくら仲良くなったからって、相手を探ることもしない。
「嫌がることをするやつは、ここにはいらねぇ」
自分自身にも言い聞かせる。
だからあの子にも聞かない。
俺はもう守られる側じゃない。
期待することも、帰る場所を夢見る事もやめた。
――なのに。
あの背中を思い出すたび、胸の奥がざらついて。
昔の記憶がゆっくり目を覚まし始めていた。
「……なんか考えてたでしょ」
背後からかけられた声に、俺は我に返った。
振り向くと、腕を組んで立つ女がひとり。
長い髪を耳にかけ、鋭い目つきでこちらを睨む。
「紗夜(さや)……いつからいたんだよ」
「三上が消えたあたりから。相変わらず後処理は雑だよね」
呆れたように笑いながら、紗夜は俺の隣に来た。



