東京への出張は、何度目だろう。
駅のホーム、コンビニ、ビジネスホテルのロビー。どこにいても人は多いのに、なぜか自分だけがこの街に溶け込めない気がしていた。
仕事を終えた帰り道、ふと「誰かと話したい」と思ってしまった。
友人でも、同僚でもなく、気を使わずに、ただ側にいてくれる誰かと。
スマホを開いて、なんとなく検索した言葉。「東京 出張 癒し」。
ヒットしたのは、見慣れない名前のサイト——「凛子水月閣」。
正直、半信半疑だった。
でも、紹介ページを見ているうちに、妙に落ち着く感覚があった。
派手でもなく、営業的でもなく、ただ「こういう子がいるよ」と静かに紹介されているだけ。
匿名で問い合わせできるリンクもあって、気づいたら指が動いていた。
——
約1時間後、ホテルのロビーに現れたのは、想像よりずっと普通の女の子だった。
黒髪のボブ、白いシャツにロングスカート。少し緊張した表情で、でも目が合うと笑ってくれた。
「お仕事、お疲れさまです」
たったそれだけの言葉なのに、誰かにちゃんと労われるのは、いつぶりだろう。
部屋に戻ってからも、会話は自然で、無理に盛り上げようともしない。
彼女の声は柔らかく、時々笑う顔がちょっとだけ幼くて。
時間が経つのが惜しくなるくらい、居心地がよかった。
——

翌朝、チェックアウトの時間。
彼女は深くお辞儀して、「お気をつけて」とだけ言って帰っていった。
名前も、本当の職業も、聞かずじまい。
でも、不思議とそれでよかった。
あの夜の空気感だけが、ずっと胸に残っている。
それ以来、東京出張のたびに、思い出す名前がある。
——「凛子水月閣」
たぶんまた、あのサイトを開く夜が来ると思う。
駅のホーム、コンビニ、ビジネスホテルのロビー。どこにいても人は多いのに、なぜか自分だけがこの街に溶け込めない気がしていた。
仕事を終えた帰り道、ふと「誰かと話したい」と思ってしまった。
友人でも、同僚でもなく、気を使わずに、ただ側にいてくれる誰かと。
スマホを開いて、なんとなく検索した言葉。「東京 出張 癒し」。
ヒットしたのは、見慣れない名前のサイト——「凛子水月閣」。
正直、半信半疑だった。
でも、紹介ページを見ているうちに、妙に落ち着く感覚があった。
派手でもなく、営業的でもなく、ただ「こういう子がいるよ」と静かに紹介されているだけ。
匿名で問い合わせできるリンクもあって、気づいたら指が動いていた。
——
約1時間後、ホテルのロビーに現れたのは、想像よりずっと普通の女の子だった。
黒髪のボブ、白いシャツにロングスカート。少し緊張した表情で、でも目が合うと笑ってくれた。
「お仕事、お疲れさまです」
たったそれだけの言葉なのに、誰かにちゃんと労われるのは、いつぶりだろう。
部屋に戻ってからも、会話は自然で、無理に盛り上げようともしない。
彼女の声は柔らかく、時々笑う顔がちょっとだけ幼くて。
時間が経つのが惜しくなるくらい、居心地がよかった。
——

翌朝、チェックアウトの時間。
彼女は深くお辞儀して、「お気をつけて」とだけ言って帰っていった。
名前も、本当の職業も、聞かずじまい。
でも、不思議とそれでよかった。
あの夜の空気感だけが、ずっと胸に残っている。
それ以来、東京出張のたびに、思い出す名前がある。
——「凛子水月閣」
たぶんまた、あのサイトを開く夜が来ると思う。
